10代から20代前半の頃なんかもう、ほんとうに現場で一言もしゃべらないし

ーーキャラ変したんですね!

柄本「いやすごかったですよ。僕が10代から20代前半の頃なんかもう、ほんとうに現場で一言もしゃべらないし」

ーーえええ!

柄本「自意識過剰ですよ。それから年齢とともに徐々に変化したこともありますが、やっぱり決定的なのは、娘が生まれたことだったと思います」

柄本佑 撮影/冨田望

 今年3月に行われた『第46回 日本アカデミー賞』授賞式には、夫婦で出席。柄本さんは『ハケンアニメ!』で優秀助演男優賞を、安藤さんは『ある男』で最優秀助演女優賞を受賞した。

 安藤さんが受賞スピーチで、声をつまらせ撮影と子育ての両立に対する葛藤を吐露、「今は悩みつつ家族で会議しながら、みんなで協力し合って、また頑張れたらいいな、大好きな現場に戻れたらいいなと思っています」と語りながら柄本さんに笑顔でアイコンタクトを送ると、柄本さんがピースサインを贈るという一幕が映ったことが、話題となった。

ーーあのシーンはたいへん話題になりました。

柄本「ちょっと恥ずかしいですけどね」

ーー恥ずかしいんですね。

柄本「恥ずかしいよ! 恥ずかしい」

ーーまわりの人からも反響はありましたか?

柄本「反響……いや……僕のまわりはそういうのを見ている人があまりいないから、この情報はそんなに届いていないのかもしれないですね」

ーーそうでしたか(笑)。

柄本「まあでも、恥ずかしいは恥ずかしいです」

 はにかむ柄本さんからは、隠しきれない人柄のあたたかさがにじんでいた。

■えもと・たすく
1986年12月16日生まれ、東京都出身。オーディションを経て映画『美しい夏キリシマ』(2003年)で主演デビューし、第77回キネマ旬報ベスト・テン新人男優賞、第13回日本映画批評家大賞新人賞を受賞。2018年には「素敵なダイナマイトスキャンダル」「きみの鳥はうたえる」などに出演、第73回毎日映画コンクール男優主演賞、第92回キネマ旬報ベスト・テン主演男優賞ほかに輝いた。2023年は監督作の短編連作集『ippo』、そして『春画先生』が公開、冬には『花腐し』が控える。