劇団の稽古場に行くことが苦しくなってしまったんです

三宅「劇団をどんどん忘れていくわけですよ。テレビ番組は１０％の視聴率で何百万人の人が見ていることになるから、その大きさと比べてしまうと、公演を観に来てくれるお客さんの人数は少ないわけです。

　この頃は意識がラジオやテレビに向いてしまい、劇団のことを考える時間を取らなくなった自分がいました。取らないというか、取れないというか……。そうすると、劇団の稽古場に行くことが苦しくなってしまったんです」

ーー劇団のためにはじめたテレビやラジオの仕事だったのに、劇団がストレスになるようになってしまった。

三宅「なんの準備もしないまま稽古場に行くので、役者に聞かれたことがわからなかったり……。そういうことがあって稽古場に行くことがものすごいストレスでした。

　そのときに支えてくれたのが、旗揚げメンバーと当時の演出助手でした。座長が恥をかかないように、一生懸命フォローして、カバーしてくれたんです。それがなかったら、劇団はもしかしたら解散していたかもしれません」

　メディアで活躍する華やかな姿のウラにあった苦悩。葛藤を抱えた三宅さんをサポートした仲間の存在は、三宅さん自身だけではなく、劇団員たち、そして公演を楽しみにしているファンにとっても大きかった。

　劇団は来年、創立４５周年を迎える。

■三宅裕司（みやけ・ゆうじ）
１９５１年５月３日生まれ、東京都出身。１９７９年、ミュージカル・アクション・コメディーを旗印に劇団「スーパー・エキセントリック・シアター」（ＳＥＴ）を結成。『三宅裕司のヤングパラダイス』（ニッポン放送、１９８４年～）、『三宅裕司のイカすバンド天国』（ＴＢＳ系、１９８９年～）、『ＴＨＥ夜もヒッパレ』（日本テレビ系、１９９５年～）をはじめ、数々の番組を盛り上げるマルチエンターテイナー。俳優として映画『壬生義士伝』（２００３年）で第２７回日本アカデミー賞優秀助演男優賞を受賞。２００４年に東京の喜劇“軽演劇”を継承すべく伊東四朗一座を旗揚げし、出演と演出を行う。２００６年に熱海五郎一座を座長として旗揚げ。ＳＥＴ最新公演『ラスト・アクション・ヒーロー～地方都市に手を出すな～』（第６１回本公演）が１０月１９日～１０月２９日までサンシャイン劇場で上演。

公演情報
劇団スーパー・エキセントリック・シアター
第６１回本公演
「ラスト★アクションヒーロー〜地方都市に手を出すな〜」
１０月１９日（木）〜２９日（日）
池袋・サンシャイン劇場にて上演
https://www.set1979.com/stage/2023/