死ぬのが分かっているのに、どうして明るく振る舞えるのか

「人は孤独であるからこそ一瞬一瞬を大切に生きていきたい」「死ぬときに人間として成熟していたい」彼の紡ぐ言葉はハッとさせられるものばかりだ。 

水上「そう思わざるをえない状況に身を置いたことがあったというのもありますけど、それを宿命と捉えて、その経験を活かさない選択肢はないなと思うんです。
 たとえば、死が身近な役を演じる時。その人間って、一瞬一瞬をハイスピードカメラで細かいコマを見るように、世界が見えているんだろうなって思うんです。みんなが遅く見えるというか、それぐらいその人にとって、焼き付けたくなるような生き方を他のみんながしているんだろうなって……。そういう役の場合、死ぬのが分かっているのに、どうして明るく振る舞えるのかを考えながら役作りをしています。刹那主義で生きていきたいって思いもありますね」 

 彼はどうしてこうも、成熟した考えをもっているのだろうか。

水上「恵まれていただけです。運がいいとしか言いようがない。もちろん、僕自身が努力して手にできたものもありますけど、その力をどこで得たのか考えてみると、やはり運がよかったなあと思っちゃいます。人生たまたまですね」

 そう笑顔で話す水上さんは、一つ一つの言葉を丁寧に声に出しているように感じる。それは演技においても同様だ。そこで、誰かに言われて印象に残っている言葉はないか聞いてみた。