俳優・東出昌大。彼が歩んできた道は、他の誰とも異なっている。映画デビュー作『桐島、部活やめるってよ』で注目され、NHK朝ドラ『ごちそうさん』でブレイク。売れっ子となりながらも一転、壮絶な非難の対象に。しかし、そこから再び映画や、過酷なバラエティ番組などでも引っ張りだこになる存在となった。そんな東出さんのTHE CHANGEとはーー。【第3回/全4回】

東出昌大 撮影/三浦龍司

 役者としての仕事と比例し、それ以外の分野での需要も伸びている東出さん。特に西村博之氏とアフリカを旅した『世界の果てに、ひろゆき置いてきた』(ABEMA)では、牛をさばく姿も話題になった。

 現在フリーランスで、仕事を取捨選択できる東出さんが、俳優業のみならず、そうした素が見えるバラエティ番組など、自分自身の身をさらす必要のある仕事まで引き受けているのはなぜなのか。

「僕にスキャンダルがあって、事務所も辞めてフリーになったというのは動かしようのない過去です。情報としては確かにそのまま。ただ僕としては、家庭内のことが紙面に載って騒ぎ立てられていったのは、そもそも何に需要があったんだろう、と疑念を抱いた時期もありました。
 僕の中の悪を世間に露呈させて、是正しようという動きだったのかなと思うんですけど、でもちょっと待てよと。僕の中に悪があったとして、是正しようとするために、なぜ嘘を書くんだろうと。あとまわりまわって、これって僕の子どものためにはなってないよね、とか」

――そうですね。 

「結局、好奇の目にさらされて、嘘をつかれて消費されたってことだな、と思う部分もあったんです。いくら身から出たサビとはいえ、です。
 そんな“うーん…”となっている時にも、一緒に仕事をしようよと言ってくれる人や、“東出がそうじゃないって知ってるから”とか、新たに仕事をしようと言ってくれる人たちが、ありがたいことにまだいてくれた。それで一緒にお仕事しましょうとなった。それと同じような方向でバラエティからも話がきたんですけど、そこで消費されるのは簡単ですよね」

 ――消費されるイメージはありますね。

「そもそも、僕は生活を売り物にしたいと思ってないわけだし。そうやって消費されるのは簡単だとは思うけど、今まで嘘や、虚像のようにしてもてはやされた頃の成れの果てのように消費されるのは嫌だし。そういったことを正直に話したときに、“そうじゃなくて、人と人として仕事をしましょうよ”と言ってくれるプロデューサーさんからのオファーだったんです。それで、じゃあ、楽しそうだし、やってみようかなと」