赤井英和のキャリアは唯一無二だ。大阪でケンカに負けたことのなかった学生時代を経て、高校でボクシング部に入部。「蹴ったらあかん。どついたらええねん」の一言の指示だけでリングに上がって、いきなり優勝。その後、世界王者を狙うと広言し、大阪中から愛されるボクサーとなりながら、リング上で意識不明となる大事故で引退を余儀なくされた。
 引退から3年、足を踏み出したのは俳優という道。1989年公開のデビュー作にして主演作『どついたるねん』は絶大な評価を獲得し、以来、30年以上にわたって活躍を続けている。
 その活躍は、妻の佳子なしではありえなかった。結婚は1993年で、以来、長女・つかさ、長男・英五郎、次男・英佳の一女二男を育て、マネジャーとして日々の現場にも同行。さらに、佳子さんが赤井家の日常を投稿する「赤井の嫁」ツイッターアカウントは、2020年の開設以来、実に42万人ものフォロワーを獲得している。
 2人にとって「THE CHANGE」とはなんだったのか。あらためて、30年にわたっての半生を聞いた。

撮影/三浦龍司

 赤井夫妻は、2022年「いい夫婦のパートナーオブザイヤー」を受賞。結婚から30年、3人の子どもも成人し、長男の英五郎さんは2022年公開の赤井英和のドキュメンタリー映画『AKAI』を監督した。

 ボクサー・赤井英和に焦点を当てた作品は、プロボクサー時代の赤井さんのすさまじい迫力の試合、当時のドキュメンタリー、そして現在の赤井さんへのインタビューで構成されている。

ーー息子さんがお父さんの映画を創る。これは本当にすごいなと思います。

赤井「もう引退して25やったから38年ぶりに自分のファイトを見たりとかして、映画を見て唯一無二というか、こんな世界チャンピオンでもなんでもないですけども、試合場のお客さんの顔見てて本当に嬉しそうに、みんな楽しそうに、お祭りみたいな状態でしたね、試合は。そうやって映画にして、残してくれて嬉しく思います」