初舞台は小学4年生。俳優・小関裕太の活躍は、ミュージカル、舞台、ドラマ、映画、MCと幅広い。28歳となった現在、その言葉は豊かで彩りに満ちているが、実は「話すのが下手で苦手だった」という。小関さんにとってのTHE CHANGEとはなんだったのかーー。【第1回/全5回】

小関裕太 撮影/冨田望

「これはなんですか?」と、小関裕太さんは、目の前の小型の機器を指さした。

 音声を録音し、自動的に文字に起こしてくれるものだ、という答えを聞くと、小関さんは目を丸くしてから笑い「いいですね!僕も買おう!」と言った。取材現場の空気は、その笑顔で一気に明るくなった。

 2010年に堀北真希さんと伊藤英明さん、14年に有村架純さんと東山紀之さんというキャストで演じられた舞台『ジャンヌ・ダルク』が9年ぶりに再々演される。今回は清原果耶さんが主演のジャンヌ、小関さんがシャルルを演じることになる。

ーー17歳でフランスを守るために立ち上がり、19歳で処刑されたジャンヌ。その導きでフランス国王になったシャルル7世を小関さんが演じます。お話を聞いたときはどう思われましたか?

「以前、演じられていたのが伊藤英明さんと東山紀之さんで、人生の、そして俳優の先輩方が演じられてきた役を僕が演じることが、恐怖というか、挑戦だなっていう思いはありました。それから、演じた当時の年齢が僕とだいぶ違ったので、なぜ僕なんだろう、っていう気持ちはありました。

 でも、台本を開いた時、そしてシャルルについて軽く調べた時に、キャラクター設定がわりと僕に近いんだって知りました。演出の白井晃さんも、3回目の上演にあたって、シャルルの年齢を少し下げてみたい、という想いがあったことをお聞きしました。

 台本を拝見して、僕だったらこう演じる、がパッと出てきたので、やってみたい、挑戦してみたい、という思いが強くなり、ありがたくお話をお受けしました」