ウォン・カーウァイ監督の名作に刺激を受けた

『ブエノスアイレス』は97年の映画で、香港のスター俳優のレスリー・チャンとトニー・レオンが出演している。アルゼンチンを舞台に、復縁したり別れたりを繰り返し、激しく感情をぶつけ合うふたりの姿が印象的だ。

「“こんなことが映画の中でできるんだ”って。映画のなかでは、色褪せずにずっと生き続けることができるんだ、って思ったら……すごいなんかしびれて(笑)。“映画かもしれない”、“役者かもしれない”っていうふうに思い始めてから、主に映画に出演してお芝居をやってみたいになりました。もう本当にすごい好きで、ああいう愛の形っていいなって思いました」

芋生悠 撮影/冨田望

 対する唐田さんは「もともとはモデル志望だったんです」と話す。

唐田「もともとモデルに憧れていたんですが、当時は自分のなかで“この事務所にしか入りたくない”と思っていた事務所がありました。芸能事務所の方にスカウトしていただくことはあったんですけど、“その事務所じゃないから嫌だ”みたいなのを勝手に決めつけて、でも憧れている事務所に書類を送ってダメだったときの現実が怖いから送れなくて……。

 特に何か行動する、ってわけではなく将来をどうしようって思ってるときにたまたま今の事務所にスカウトしていただいて。正直、ずっと憧れていた事務所ではなかったんですけど、直感で“いいな”と思って入りました」