芸人・永野の異質さはよく知られるところだろう。「ラッセンが好き」で世に出て、テレビを席巻し、現在でもYouTube、ラジオなど多方面で活躍している。繰り出される強烈なフレーズ、モノマネの意味を本当に理解できる人はどれだけいるのだろうか。それでも笑ってしまう。
 かつて、朝の情報番組で俳優を本気でビンタして警察沙汰になり、テレビ局を出禁になったこともある。著書が2冊あり、音楽についての該博な知識と愛情、そして分析は驚くべき深さで読む人を圧倒する。「妻や子どもの写真をスマホの待ち受けにしてるやつといい仕事できないですよ」と語る永野の人生が変わった「THE CHANGE」とはなんなのかーー。

撮影/川しまゆうこ

 永野さんは日差しのまぶしい会議室で約束の16時前から取材者を待っていてくれた。忙しいところありがとうございます、とあいさつをすると、「いえとんでもないです、こちらこそ」と丁寧に応えてくれる。

 永野さんのテレビ、ラジオでの他の芸人たちとは一線を画する、聞く人の心をかき乱すような発言は、しばしば話題になる。「ピン芸人界のご意見番」として出演した『マルコポロリ』(関西テレビ)では、R-12023王者の田津原理音、2022年王者のお見送り芸人しんいちらを前に思い切った発言を連発。

「(しんいちは)全部コンプラの中」

「R-1は感動シーンになると消す。優勝の感想なんて見てられない」

「売れたやつの全部マネしたところでC級芸能人のできあがり。大卒ディレクターのおもちゃになるだけ」

 と、「毒吐いた人ちゃんと傷つけて、すいませんもいわないで。ちゃんと仲間減ってる。マジで戦わないと相手にされないよ」という永野さん自身の言葉を実践してみせた。

「悪口だけが得意だから、ペラペラ喋ってるだけなんですよ、マルコポロリの悪口も。もっというと、悪口もいやで、陰口が好きなんです。俺、毒舌って苦手で、毒舌って目の前で言うじゃないですか。スパンって。

 よく言うじゃないですか。悪口は卑怯だって。ちゃんと芸人だったら目の前で言う。それはフェアだ、とか全然思わないんですよ。いない奴のこと言ってるほうがおもしろい」