インディーズでデビュー。レコードを50枚買っていた父

撮影/松野葉子

「僕たちの世代は、レコードを出すのって一種のステータスだったんです。『ANIMAL BEAT』(1986年発売)を出した時には、親父が空港まで迎えに来てくれて、車のトランクに50枚くらいレコードが積まれていたんです。“どうしたの?!”って聞いたら、“関係者にあげるんだよ”って言っていて。それくらい特別なことだったんです。今は、レコードを出したくらいじゃ“おめでとう”って言われないだろうけどね」

 レピッシュの人気は、新しいものに敏感な若者やミュージシャンの間にも広がっていた。少女向け雑誌『なかよし』では『レピッシュ!』(1988年/作・ひうらさとる)という漫画も連載された。

「ひうら先生にもお会いしましたよ。今もSNS上でつながっています。レピッシュに影響を受けたって言ってくれるミュージシャンは多すぎて覚えていないね。ミュージシャンのファンが多いんですよ。一般人には少ないんですけれど(笑)。好きって言ってもらえるのは、ありがたいって思っています」

 抜群の記憶力で、レコードデビューまでの経緯を軽妙に語ってくれたMAGUMIさん。笑いに包まれた現場からは、その温かい人柄が伝わってきた。

MAGUMI(まぐみ)
1963年生、熊本県出身。ミクスチャーバンド・LA-PPISCH(レピッシュ。“A”はウムラウト付き)のボーカル、トランぺッター。87年にシングル『パヤパヤ』でメジャーデビュー。レピッシュは05年に活動休止をするも、07年に活動再開。バンド・MAGUMI AND THE BREATHLESSのボーカルも務めている。