野球の知識が乏しい一般視聴者にも分かりやすい言葉で話してくれるためか、ワイドショーで姿を見かけることが多い五十嵐亮太さん(44)。その分かりやすさは、長いプロ生活で培われたものであることは間違いないだろう。NPBからMLBへ、そしてNPBと、23年にわたるキャリアの中で経験した「CHANGE」を聞いてみた。【第1回/全5回】

五十嵐亮太 撮影/有坂政晴

大谷翔平は描いているものが違う

「今日はよろしくお願いします!」取材場所にあらわれた五十嵐さんは、テレビで見る姿と同じく、若々しく快活な雰囲気に満ちていた。その一方で、野球については理路整然と、分かりやすい言葉で語ってくれる。やはりNPB、MLBと渡り歩いた、長い経験があるからこそ、なのだろう。そんな五十嵐さんに、現在の野球界で最大のトピックである、ロサンゼルス・ドジャースの大谷翔平選手(29)は、どう映っているのだろう。

「彼はもともと、描いているものが普通の人とは違うのかなと思いますね。たとえば二刀流も、本人が“そんなことができるのか?”と疑問を持って始めたものではなかった。しっかりとしたイメージを持って取り組んだからこそ、結果的に成功した。もちろん、北海道日本ハムファイターズの協力もあってのことですけれど。二刀流という、普通の人ができない目標設定ができる時点で、すでに違うんでしょうね」

 さらに描いた姿に近づく姿勢も違うという。

「野球選手はみんな、こうなりたいとか、こうできたらいいなとかイメージはするんですよ。でも、実際にはなかなかうまくいかない。どうしても、途中で妥協してしまう。もちろん大谷選手も妥協をするときはあると思いますが、そこであきらめずにやりきる。当たり前に思えるけど、実はなかなかできないことを、しっかりやり抜ける。ひと言で言えば、彼は特別なんですね」