昨年最も顔を知られた新人俳優と言ってもいいのではないだろうか。NHK連続テレビ小説ブギウギ』で、趣里演じる福来スズ子の弟・六郎として愛された黒崎煌代。2022年に開催されたオーディションに合格して芸能界入りし、2023年に入って俳優デビューを飾った。そのテレビドラマデビューが朝ドラという強運と、決して運だけではないダイヤの原石であることは、すでに『ブギウギ』を見ていた視聴者には証明済みだ。これからが楽しみでしかない黒崎さん。眩しい21歳のTHE CHANGEとはーー。【第3回/全4回】

黒崎煌代 撮影/冨田望

 朝ドラヒロインの相手役や家族役の躍進は、昔から言われることだが、好演した役者がドラマデビュー作だったとなると、注目度や驚きもさらに増す。朝ドラ『ブギウギ』の六郎役でデビューを飾り、強い印象を残した黒崎さんは、放送が始まり世間の反応を見るまでは「ドキドキで、怖かったです」と正直な胸の内を明かす。しかもその“怖さ”は、高い評価を受けても消えることがなかった。絶賛の声に浮かれない、黒崎さんの姿勢には強い母の存在があった。

――改めて、『ブギウギ』がドラマデビュー作ですよね?

「まさか私も朝ドラがデビュー作になるとは思っていなかったです。ありがたいですけれど、本当に放送されるまで怖かったです。一番見られているドラマなわけですよね。多くの人の目に映るので、どう捉えられるんだろうと。ドキドキしていました」

――受け入れられました。それどころか高い評価を得ています。「演技がスゴイ」「原石」と、ニュース記事やSNSの評価が入って来るかと。

「本当に思ってくださっているのでしょうから受け入れはしますけど、でも100%ただ受け入れるだけだと危ないと思うんです。やっぱり調子に乗ってしまうことってあると思うんですよ。実際、そうなる人もいると思いますし、その気持ちも分かる気がします。なので私は誉められたら、そういう時にこそ地に足を付けるようにと自分を促します」

――常に意識しているのですか? 身近な誰かが意識させてくれるのでしょうか。

「意識するようにしていますし、真っ先に言ってくれるのは母です。今回も“好かれているのは六郎であって、あなたではないのだから勘違いしないように”と釘を刺されました」