芸人・永野の異質さはよく知られるところだろう。「ラッセンが好き」で世に出て、テレビを席巻し、現在でもYouTube、ラジオなど多方面で活躍している。繰り出される強烈なフレーズ、モノマネの意味を本当に理解できる人はどれだけいるのだろうか。それでも笑ってしまう。
 かつて、朝の情報番組で俳優を本気でビンタして警察沙汰になり、テレビ局を出禁になったこともある。著書が2冊あり、音楽についての該博な知識と愛情、そして分析は驚くべき深さで読む人を圧倒する。「妻や子どもの写真をスマホの待ち受けにしてるやつといい仕事できないですよ」と語る永野の人生が変わった「THE CHANGE」とはなんなのかーー。

撮影/川しまゆうこ

 永野さんは、著書やラジオでしばしば、教科書に載るようなU2と、バイトしないで暮らせるリンプ・ビズキットとどっちがいいか、と対比させている。

 世界中から尊敬を集める存在になりながらも窮屈なU2と、ロックファンから馬鹿にされながらも、現在でも楽しそうに自分たちのやりたいことをやり続けているリンプ・ビズキット。この2つのロックバンドのうち、永野さんは自身をリンプに重ねている。

「ホントにそうで、こないだの日曜の事務所の営業でも、すげえこと言っちゃったんですよ。事務所のイベントでMCやって、なんかしゃべるうちに変な雰囲気っぽくなって。サンド(ウィッチマン)もいるのに、言っちゃったんですけど。

“永野さんどうするんですか、こんな空気になっちゃって”って言われたときに、ポロっと言っちゃったのが、“いやもう俺別に、好感度とか人気と本当に面白いとは違う、ってわかっちゃったから、別に人気なくてもいいんじゃないですか”って。
 別に俺、面白けりゃいいから、面白いと思ってるから別に人気なくていいから、って。でも意外と本音で、みんなから愛されようとか、なんかうまくやろうとか、そこじゃない。何も変わってない。でも、けっこう時代が変わった」

 世間が変わった。永野さんは変わっていない。