「俺はたぶん、バカを披露するだけでけっこううれしい」
ーーその道を選ぶ人は、これから増えていくと思いますか?
「減っていくと思います。今日もこれからライブ行くんですけど、変態の真似事みたいなことやってたんですよ、ずっと。今は気づいたんですけど、ずっと違和感があったんです。舞台とかで、コンビの方とかはしょうがないですけど、合わせたりとかするじゃないですか。でも俺はたぶん、バカを披露するだけでけっこううれしい。それでいいのかなと思って。
そんなやつが同等に、仕事もいろいろあったりする。普通にやるじゃないですか。自分の本意じゃない受けた仕事も、ありがとうございます、ってやってると、マジで俺、後半やだな、って顔が出ちゃったんです。
そっちのルールで言ったら、やばいじゃないですか。お仕事いただいたんで、やりますっていう中で、めんどくさいなって顔が出ちゃったんですよ。でも、そのとき思いました。
マジで、したくないことしたくねえな、って。
このインタビューも、じゃあ行きますか、ってなんとなく用意した対応をして、それが普通なんだけど、なんかここまでかぶいたんだから、という気持ちがある。そこは楽しく、しゃべりたいことを話したいんです」
話を聞く側にとり、用意された対応ではない言葉を聞けることはなによりの喜びだ。したくないことしたくねえな、という永野さんは、ある意味で誰よりも真摯なのかもしれない。
■プロフィール
永野 ながの
1974年9月2日生まれ。宮崎県出身。AB型。1995年にピン芸人としてデビュー。「ゴッホとピカソに捧げる歌」などのシュールなネタで注目を集める。ロックフリークとしても知られ、愛情と知識で語られる音楽トークは人気に。GLAYのライブにゲスト出演し、俳優・斎藤工とは映画をともに製作するなど華麗な交流がある。2021年に『僕はロックなんか聴いてきた 〜ゴッホより普通にニルヴァーナが好き! 〜』、2023年に『オルタナティブ』(ともにリットーミュージック)を出版