ショーパブ時代に徹底的に鍛えられた「アドリブ力」

 その後、ほいさんはショーパブの世界に足を踏み入れた。ここで徹底的に鍛えられたのは、アドリブ力だった。

「たとえば、僕はマジックができたから、“Mr.マリックに師匠がいた”というパロディの設定で、相手役とアドリブでコントのようなことをやったこともありました。20分間、お客さんを巻き込んでボケ続けるのが楽しくて。店に行く前に“今日はこのネタをやろう”と考える時間が好きでした」

 ボケつつも、経験をムダにしないマジックを最後の最後に披露し、お客の心を掴んだ。「最後に、普通のちゃんとしたマジックを披露することは、マギー司郎さんから学んだ」という。

「実はたいしたことがないマジックだけど、それまでふざけているからすごく大層なマジックに見える……というギャップですよね。
 僕の今のモノマネショーも、最初から美味しいミネラルウォーターはあげないんですよ。最初は水道水を出す。ネタって、お客さんの状態とタイミングが大事なんです。まずはお客さんの喉が乾いているのか確認する。乾いていないと、どんなに美味しい水でも手をつけないから。喉を乾かして、“飲ませてくれ”という状態にすると、水道水でも“ウマーーーっ!”と飲むから」

ーーウケなくてスベった、という経験は?

「もちろんあります。スベリ倒すことなんてしょっちゅうだし、若い頃は空気も読めないし自分が楽しいと思うことだけをやっていました。でもやっぱり、ショーパブを経験して、お客さんとしゃべるようになってから、空気が読めるようになりました」