さんまモノマネの原点となった超過酷スケジュール番組

ーー変わり方がほんとうにすごいですね。それに、素人の方を前にしたしゃべり方が、さんまさんそのものです。

「これの原点は、さんまさん役として出ていた再現ドラマですね。特に2015年、さんまさんの還暦をお祝いする番組では、さんまさんの再現ドラマが沢山あり、僕にオファーが来たのが収録2週間前。約10日間で再現ドラマを15本撮りました。朝4時に出て夜中2時に帰ってくるなんてスケジュールもありました」

ーー1日中ずっとさんまさんになっている状態だったんですね。

「はい、自分に戻る時間がないんですよ。ある日、“プライベートでハワイに行ったさんまさんが、そこにいた学生たちを全力で笑わせる”というエピソードを浜辺にエキストラの学生を座らせて撮影したときのことです。今からこの子たちを笑わせないといけないのか、と、このとき、役者としての僕ではなく、“さんまさん”がほんとうにその場で笑いを作っている感覚を得たんです」

 当然、台本などなく、すべてアドリブでやりきった。さんまさん役で再現ドラマに出演し始めた頃はきっちりと台本が書かれていたというが、それに対して「さんまさんはこういう言い方じゃないと思う」とセリフをめぐり、ディレクターと揉めたこともあったという。

「結果、スタジオで観ていたさんまさんがVTRを受けて言った言い方が、僕が主張していた言い方だったんです。そういうことが何度かあり、“ほいけんたはさんまさんのことをちゃんとわかってるな”となってきて、それ以降、“ほいさんのお任せで”が増えました。そうすると、現場での自分の仕事が増えるんですけどね」