この子は本当にダメな子だと思われたこともたくさんありました

「コメディばかりいただけるわけではありませんので、最初はコメディじゃない普通のお芝居もコメディに変えて演じたりしていました」

――それは、大丈夫なんですか?

「普通に怒られていました(苦笑)。この子はちゃんとした演技ができない。この子は本当にダメな子だと思われたこともたくさんありました」

戸塚純貴 撮影/冨田望

――それでも。

「やらずにはいられなかったんです。そうやって続けていくなかで、福田雄一監督をはじめとした、それを面白がってくれる方々に少しずつ出会っていきました。そこでちょっとずつ自分に自信がついていって、“戸塚純貴として生きる道”があるのかなと思えてきたのかなと思います」

――ちゃんと自分として生きる道が見えたから、コメディではないお芝居にも向き合えるようになったのかもしれませんね。

「そうですね。たぶん自分が、戸塚がこの役を演じるという意味をちゃんと持たせたくて、コメディという方法を取っていたのかなと思います。今はやみくもにコメディとして演じることはしませんが、自分が演じているからこその演技をしたいという思いは同じです」

――現在、31歳です。これからさらにどうなっていきたいですか。

「がむしゃらにやってきた20代の頃から見ると、30歳になってからはやってきたことが実を結ぶことが多くなってきました。これからは役に説得力を持たせることがもっと必要だと思っています。そのためにも自分自身の生活や人生を、きちんと豊かにしていきたいなと思っているところです。

 自分自身の人格をちゃんと持っていないと、役を演じた時にも結局空っぽの状態になりかねないなと思うんです。仕事を頑張るのは引き続きですが、最近は生活がおろそかになっては本末転倒だと思うので、仕事以外の自分自身の人生も豊かな人間でありたいと思っています」

 パッケージから解放された戸塚さんは、いま新たに俳優としてはもちろん自分自身の人生も豊かにすべく人として奮闘している。

【プロフィール】
とづかじゅんき
1992年、7月22日生まれ。岩手県出身。2010年開催の第23回ジュノン・スーパーボーイ・コンテストをきっかけに芸能界入り。翌年、テレビドラマ『花ざかりの君たちへ 〜イケメン☆パラダイス〜2011』で俳優デビューを果たした。映画『風切羽〜かざきりば〜』で映画初主演。主な出演作に映画『ライチ☆光クラブ』『銀魂2 掟は破るためにこそある』『水は海に向かって流れる』、ドラマ『教場II』、『親バカ青春白書』、『だが、情熱はある』『かりあげクン』など。公開中の映画『ある閉ざされた雪の山荘で』では、劇団のリーダーを演じている。待機作にNHKの2024年度前期連続テレビ小説『虎に翼』。

●作品情報
映画『ある閉ざされた雪の山荘で』
原作:東野圭吾
監督・脚本:飯塚健
脚本:加藤良太
音楽:海田庄吾
主題歌:「FICTION」WEST.
出演:重岡大毅間宮祥太朗中条あやみ岡山天音西野七瀬堀田真由、戸塚純貴、森川葵
(C) 2024映画『ある閉ざされた雪の山荘で』製作委員会 (C) 東野圭吾/講談社
配給:ハピネットファントム・スタジオ 
公開:1月12日(金)
ヘアメイク :中島康平 ◆スタイリスト:森大海