「脚本を読む前から“絶対にやりたい!”と思っていました」

――橋本さんありきの作品だった。それは役者にとってはなによりうれしいことなのではないでしょうか。

「そうですね。監督のお手紙から気持ちがダイレクトに伝わりましたし、脚本を読む前から“絶対にやりたい!”と思っていました。その手紙の中に、なぜ自分だと思ってくれたのかということが書かれていました。
 私の何かの作品を観て、“あの役が良かった”とかそういったことではなく、私自身が普段、コラムの連載やSNSなどで発信していることや言葉を見てくださっていて、“自分の信じるものを守る強さ”を感じていただいたそうなんです。それが沙苗に通じるんじゃないかと」

 確かに橋本さんの言葉からは、自分であることの“強さ”のようなものが伝わってくる。

「監督のその言葉を見たとき、“そうなんだ”と思ったんです。私ってそういう人間なんだと。私自身が気づいていなかったことを見てくれている人がいる。私の知らない私を知っているというか、私以上に知ってくれている人がいるんだと。それがとてもありがたいことだな、と思いました」