物心ついた子どもの耳に、家族以外でもっともはやく馴染む声の持ち主といえば、戸田恵子さんにほかならない。声優として国民的アニメ『アンパンマン』をはじめとするさまざまなアニメの声優を担当し、老若男女に愛され続ける戸田恵子さんのTHE CHANGEとは。【第2回/全3回】

戸田恵子 撮影/冨田望

 

 親子連れで賑わう東京・二子玉川で、昨年11月、日本最大規模の子ども国際映画祭『第30回 キネコ国際映画祭』が開催された。2008年から現在まで、なんとボランティアで参加している戸田恵子さんが、「最初は、子ども向けのアニメの声優をやっていたから呼ばれたんだと思うけど、やっていくうちにいろいろ引きずりこまれたんです」と笑顔で話す。『アンパンマン』の声優でおなじみの戸田さんだからこそ、子どもが中心となる映画祭からオファーがあったのだ。

「最初はほんとうにたいへんで、手作り感満載で、こんなに立派な感じじゃなくてね。私も“もう来年はやらない!”と言っていたくらいで、でも次の年も参加してしまうんですよね。その理由はひとえに、上映作品が素晴らしすぎるから。そんな映画に関われると、やっているこっちも幸せになるからね」

 上映作品はすべて子ども目線で作られた子どものための映画だというが、国によってはシリアスな題材もあるという。

「たとえば内戦が勃発している国の映画は、お父さんが戦争に行き、脚がなくなって帰ってきたとしたら、子どもたちはお父さんをどう受け入れるのか……とか。そういったシビアな題材の映画もある。ほかにも、差別の話や、人種問題の話だったり」

「若いお父さんやお母さんが教えきれないことを、子どもと一緒に映画から学ぶことができる」ことが、同映画祭の意義のひとつだという。