日本でモデルとして活動後、活動の拠点を韓国へと移してブレイクした俳優・大谷亮平。日本への“逆輸入後”には、ドラマ『逃げるは恥だが役に立つ』(TBS系)をはじめ、話題作に次々と出演し、アッという間に実力派俳優としてのポジションを築き上げた。注目の映画『ゴールデンカムイ』での芝居も光る彼の「THE CHANGE」とはーー。【第2回/全2回】

大谷亮平 撮影/田中智久

 今回『ゴールデンカムイ』で演じている谷垣源次郎の魅力は、実直で誠実なところ。周りの人たちの声に耳を傾けると「似合っていると思う」と言っていただけたので、谷垣の長所を生かしながら、しっかりと演じようと現場に向かいました。

 真冬の北海道でのロケは過酷でしたが、衣装を着て武器を背負い、スキーをしたりと、とても充実した撮影でした。

 普段は完成した作品を観ても自分の演技が気になったりして、あまり客観視できないんですが、『ゴールデンカムイ』に関しては、観客の気持ちになって大いに楽しみました。

 もちろん、台本を読んでいるから結末まで全部分かっているんですが、これほどまで迫力があって、先が気になる映画に仕上がっているとは……! と試写室から出るとき、とても高揚しましたね。

 思えば、韓国で12年間俳優をやり、活動の場を日本にシフトしたのが36歳のときでした。

 あちらでは、謎めいた役や癖のある役をやらせていただくことが多かったので、日本の方に僕を知ってもらうきっかけになった『逃げるは恥だが役に立つ』の風見役など、等身大の役を演じるのは、逆に難しかったですね。「普通ってどうだったっけ?」と(笑)。

 それだけではなく、日本でのスタートはすべてチャレンジでした。

 自分は俳優としてのスキルもまだまだないし、器用なほうでもないと自覚していて、うまくやれるなんてまったく思いませんでした。でも、僕を呼んでくれる場所があるなら、そこでやれることをやろう。ひとつひとつ、丁寧に、とそればかり考えていました。