「やるからにはとことんやってやるぜ」という気持ちで毎回臨んでいる

 本音を言えば、遊ぶために仕事をしているみたいなところがあるんです。それと、子どものために仕事をしなきゃいけないんだと思うところもある。でも、「やるからにはとことんやってやるぜ」という気持ちで毎回、仕事には臨んでいるのも確かなこと。たとえば、バラエティ番組なら「視聴率を1%上げてやる!」って気持ちで常に携わっています。

 現在62歳だけど、体の問題がどうこうっていうのは、しょうがないよね。やっぱり20代の頃の運動能力があるかといったら、絶対ないって分かってるし。今、ラリーもやっているんだけど、肉体的にはちょっと限界ですよ(笑)。

 だけど、タイムを少しでも縮めるってことじゃなくて、楽しく走るってことを自分の中で目標にしていれば、まだまだ走れる。釣りも同じで、この魚を絶対釣ってやるって意気込んでやるんじゃなかったら、5時間でも10時間でも楽しく釣り糸を垂らしていられる。これで、俺が遊ぶことがもういいやってなったら終わりでしょ、たぶん。

 以前出演した健康系の番組で寿命が69歳って宣告されたことがあってね。そうは言われたけど、気にしていない。健康診断だってちゃんと受けているし、どこかが悪くて治療しなきゃいけないってとこもないし。だって、特別悪かったら医者も言うでしょ、たぶん。そもそも、そんな寿命のことを考えていたら何もできないし、何も楽しめない。死ぬときは死ぬんだ……ぐらいにしか思っていないから。急にガクッと衰えるのかもしれないけど、そうなったらなったで、そこが俺の引き際だなって思えばいいのかなって(笑)。

哀川翔 あいかわ・しょう
1961年5月24日、徳島県生まれ。AB型。1984年、一世風靡セピアの一員として『前略、道の上より』でレコードデビュー。86年、『青の情景(シーン)』でソロデビューを果たす。88年、ドラマ『とんぼ』で注目を集め、90年、Vシネマ『ネオチンピラ 鉄砲玉ぴゅ~』の主人公に抜擢される。95年、映画『BAD GUY BEACH』で“あいかわ翔”名義で監督デビュー。99年、「第8回日本映画プロフェッショナル大賞」を受賞。2000年代になってからも精力的に多くのドラマ、映画に出演。近作には映画『老後の資金がありません!』『春に散る』やNHK連続テレビ小説舞いあがれ!』がある。

■映画『一月の声に歓びを刻め』
 現在、全国公開中。
 八丈島に住む“牛飼いの誠”こと赤松誠(哀川)の元に娘の海(松本妃代)が帰省した。5年ぶりの再会で、海は身重であることに誠は気づく。しかし、誠はそのことを海になかなか問いただすことができない。そうこうしているうちに、誠は海の部屋で離婚届を見つけ……(「八丈島」編)。
脚本・監督:三島有紀子
出演:前田敦子、カルーセル麻紀、哀川翔ほか