ありのままを全部書いて「書くのは病状だけにしてほしい」

 赤裸々に、包み隠さず。それは、長いワイドショー人生で他人様のプライバシーを仕事にしてきた、せめてもの罪滅ぼしという意味もありました。

 あまりにも全部書いてしまうので、長男からは「書くのは病状だけにしてほしい。世の中のことを書いたら絶対に炎上するから」と釘を刺されましたし、妻からも「アップロードする前に、必ず見せて」と事前チェックの約束をさせられました(笑)。

 たとえば、副作用で抗がん剤治療の髪が抜けたときには、『つるピカハゲ丸くんの冒険』というタイトルで、病院内を歩き回る企画をやったんですね。そしたらチェック係の妻から「ふざけすぎ!」とダメ出し。3回で打ち切りになりましたね(笑)。

 インスタグラムのフォロワーは30万人になり、闘病中の方やそのご家族から「励まされています」というコメントをたくさんいただきました。私のほうこそ、その言葉に励まされましたね。

 いやぁ、この時代で本当によかったと思いますね。個人で情報発信できるんですから。SNSの存在に助けられました。

 そして2020年6月4日。主治医から完全寛解と言っていただきました。本当に、うれしかった!

 翌日、ブログで報告すると、1500を超えるコメントをいただきました。これも、うれしかったですね。

 振り返れば、フジテレビの退社と病気、そしてSNSという大きな転機が3つまとめて、やってきた形になりました。これからも、笠井信輔はSNSで自分の“今”をお届けしつつ、しゃべりまくっていきたいと思っていますので、どうぞよろしくお願いいたします!

笠井信輔 かさい・しんすけ
1963年4月12日生まれ。東京都出身。1987年、フジテレビに入社し、アナウンサーとして『とくダネ!』『バイキング』など、情報や報道を中心に多くの番組を担当。2019年10月、フジテレビを退社し、フリーアナウンサーに。同時に「悪性リンパ腫」のステージ4であることを公表した。現在は、さまざまなメディアでがん知識の普及活動を行いながら、アナウンサーとして多方面で活躍している。

■『がんがつなぐ足し算の縁』
1540円 中日新聞社
笠井さんの4か月半にも及ぶ闘病の記録に加え、入院生活や抗がん剤治療の実体験から得た「病と向き合うアドバイス」がつづられている。新聞連載時に生まれた、読者とのつながりの物語も収録。患者はもちろん、家族や友人たちの支えになる一冊だ。