相方・サーヤが小説を読んだ感想は……
「カクヨム」はウェブサイトなので、読者からダイレクトにさまざまな感想が寄せられます。賛否を含めいろいろと反応をいただけたのが、新鮮で面白かったです。ネガティブなご意見のほうが覚えていますね。
「芸人だからもっとコメディ色の強い小説だと思ったのに……」だとか。一番、ダメージを食らったのは「読書経験が豊富だからと思うけど、なんか小綺麗にまとまりすぎている」という感想。ああ、確かにな、と恥じ入りました(笑)。
嬉しかったのは、作家の町屋良平さんがSNSで、「小説の文章として素晴らしい」「いわゆる文章の文章になってない。既存の文章やフィクション作品からの二次イメージになってないのがいい」と褒めてくださったこと。それは僕自身も「定型文は使わないぞ」と思いながら書いていたから、嬉しかったです。
ちなみに相方も何編か読んでくれて、「暗っ!」との感想だけもらえました(笑)。
ラランドは21年に個人事務所を立ち上げたのですが、社長が相方で、同じく大学時代にお笑いをやっていたマネージャーが副社長。僕は社員なので、コンビの立場は100:0で僕が弱いです(笑)。ネタも相方が書いていますし、ユーチューブなど、自分たちのメディアの方針にも僕は関わっていません。ネタを書かないのに小説を書いた、初めての芸人なんじゃないですかね(笑)。
人生なりゆきでここまできましたが、これからも芸人としても頑張りたいですし、小説もいろんな人に読んでもらいたいですね。
ニシダ
1994年、山口県宇部市生まれ。 上智大学在学中、同級生のサーヤと二人で、お笑いコンビ『ラランド』を結成。2019年、『M-1』グランプリでアマチュアながら準決勝に進出し、話題を集める。講談社『小説現代』、KADOKAWA『野性時代』で小説を執筆するなど、幅広く活動を行なっている。
■小説『不器用で』
鬱屈した日常を送るすべての人に突き刺さる、ラランド・ニシダの初小説『不器用で』。WEB小説サイト「カクヨム」で15万PVを獲得した「アクアリウム」など、珠玉の5篇を収録。繊細な観察眼と表現力が光る。