「人として本当に優しくて、役者としてはストイックで、大リスペクトです」

 
――井浦さんはどんな言葉を?
 
「新さんは“僕は30歳まで作品を縫うという経験はなかった。坂東くんはいま乗り越えるべきタイミングで、いい作品に出会っているね”と言葉をかけてもらって。その言葉も“ああ、そうかあ~”とすごく沁みましたね。新さんからは、アウターもいただいたんですよ」
 
――新さんから?
 
「新さん、ELNESTというブランドを自分で持たれてるんですけど、現場のときに“坂ちゃん、絶対似合うと思う”って僕にくれたんです。ずっと着てますし、一生着ます。新さんも、本当に大好きです」
 
――おふたりとも、取材していてもいつも素敵な方ですが、やはり現場でもそうなんですね。
 
「おふたりがまとっている空気感があって、ボタニカル感というか、マイナスイオンがずっと出ているような。おふたりと同時期にお仕事ができて、本当にありがたかったですし、大好きです」
 
――坂東さんは、本当に立て続けに作品に出ていましたし、それぞれが全く違う役柄で「全部違う」と評判になっていました。やはり、ご苦労があったんですね。
 
「苦労というか、乗り越えるべくしてやってきた壁ですし、タイミングだったと思います。そのタイミングで、西島さんと井浦さんとご一緒できたのが幸運でした。人として本当に優しくて、役者としてはストイックで、大リスペクトです」
 
 さまざまな役を生んでいくために、壁にぶつかった時期もあった坂東さん。それを自身で「乗り越えるべくしてきた壁」と語り、乗り越えてみせた。

 西島さん、井浦さんが坂東さんを“溶かす”声を掛けてくれたのも、真摯に仕事と向き合う坂東さんだからに違いない。坂東さんも、仕事にストイック、かつ人間としてまとう空気の大きな俳優になっていくのではないだろうか。

ばんどう・りょうた
1997年5月24日生まれ、北海道出身。2017年俳優デビュー。翌年、NHKスペシャルドラマ『花へんろ 特別編 春子の人形』に主演し注目を集める。22年に公開されたW主演映画『フタリノセカイ』で第32回日本映画批評家大賞新人男優賞を受賞した。主な出演作に、映画『峠 最後のサムライ』『冬薔薇』『春に散る』『バカ塗りの娘』、ドラマ『リバーサルオーケストラ』『王様に捧ぐ薬指』『きのう何食べた? season2』など。最新出演映画『一月の声に歓びを刻め』が公開中。また4月にW主演ドラマ『RoOT / ルート』(TX)を控え、2025年公開の主演映画『君の忘れ方』(作道雄監督)も公開が決定している。

●作品情報
映画『一月の声に歓びを刻め』
脚本・監督・プロデューサー:三島有紀子
出演:前田敦子、カルーセル麻紀、哀川翔、坂東龍汰
(C) bouquet garni films
配給:テアトル新宿  公開中
ヘアメイク 南 郁弥(OLTA)
スタイリスト 李 靖華