―― ブレイク後は国民的アイドルとして大活躍されましたね。

「いま振り返っても当時の記憶がほとんどないくらい忙しく働いていたと思います。

 ただひとつだけ明確に覚えてることがあります。何者でもなかった自分が、オーディションに落ちまくっていた自分が、気づけばたった数年で子どもの頃から抱いていた夢のすべてが叶った瞬間があったのに、うれしいというよりも“全部叶うってこんなもんなのか……”って。自分のことなのに、他人事のように傍観しちゃってる感じで。

 たぶん自分の器が小さ過ぎて幸せをだいぶ取りこぼしていたんでしょうね。やりたいことが全部できるなんてこんなに幸せなことはないのにね……だからいまは夢を叶えることだけが必ずしも幸せという価値観は持ってなくて、受け止める自分の器がどうであるかのほうが大切。でないとどんな幸せも感じられないし意味ないんだなと思います」

―― 一方、忙しいと体調面で不安もあったのではないですか?

「当時はよく病院のお世話になっていた記憶があります。お腹が痛くなったり、夜中に点滴を打ちに行ったり。昼間は仕事で行けないので救急で行ったりしていました」

 中学1年生でスカウトされて芸能界入り。『ポンキッキーズ』での大ブレイクを契機に、歌手、バラエティ、CMと多方面で活躍し、忙しい日々を送った。現在は化粧品の開発や販売もする会社の社長でもある鈴木。デビュー35周年となる2023年は初となるベストアルバム『鈴木蘭々 All Time Best~Yesterday&Today~』が7月26日発売予定。どのような活躍を見せてくれるのか、期待が膨らむ。

 

鈴木  蘭々(すずき らんらん)
1975年8月4日生まれ、東京都出身。『泣かないぞェ』『キミとボク』など歌手としてもヒット曲多数。2018年から歌手活動を再開し、22年7月には『COTTON CLUB』での公演も実施。現在は化粧品の開発や販売もする会社の社長という一面も。