役者としての活動を中心に、趣味のアニメや新幹線好きを活かして多くのバラエティでも活躍。2018年には小説家としてもデビューを果たした。いくつものステージを経てきた松井さんにとっての「CHANGE」とはーー。【第1回/全3回】

松井玲奈 撮影/有坂政晴

 

 この日、取材現場に松井さんは淡い花柄をあしらったドレッシーな衣装に身を包んで登場。昨秋放映されたドラマ『たとえあなたを忘れても』では主人公がアルバイトする携帯ショップの上司を演じたが、その時の厳しい雰囲気とは違って、柔らかくフェミニンな雰囲気を醸し出していた。自身の精悍な顔立ちもあってかクールな印象を受けたが、「これまでの人生で最大のピンチは?」と尋ねると、幼少期の”体験”をフランクに話し始めた。

「私、子供の頃はひとりで遊ぶのがすごく好きな子だったんです。4、5歳の頃の話ですが、親の仕事場に連れて行ってもらった時に、周りが田んぼであぜ道があったんですね。そんなところを一人で走り回っていたら積んであるブロック塀を見つけたんです。その時、何故だか判らないんですけど、バク転が出来るかもって思って、ブロック塀の上からバク転したんです。もちろんできるわけがなくて、地面の石に思いっ切り頭をぶつけておでこを切っちゃったんですよ。当然、血が出てきたんですがそれを親に見られたら怒られると思って、一生懸命服で血を拭いて、前髪で隠したことがあったんです」

 やんちゃぶりは、いまの松井さんからは想像できない話だ。

「その直後にスーパーに行った時にカートに乗せられたんです。もう、親の顔が直ぐ近くだったから見つかるんじゃないかと思って、なんとか傷を隠さなきゃって、ずーっと手で傷を隠していたのですが、やっぱりバレてしまいまして(笑)。『何してるの、あんた!』って怒られたのですが、それは雷が落ちて死んじゃうかも……って思うくらい怖かったです。もうブルブル震えていましたね。いま思えば正直にケガしちゃったって言えばよかったんでしょうけど、何か隠さなきゃって思ったんでしょうね。謎の恐怖でしたね。それが今までの人生での最大のピンチでした」。