歌手、実業家として活動する鈴木蘭々。『ポンキッキーズ』(フジテレビ系)で大ブレイクし、1996年と97年には2年連続でCM女王にも輝いた彼女も2023年で芸能生活35周年。鈴木蘭々の「THE CHANGE」とは?
「明るく元気いっぱい」なイメージを持っている人も多いと思うが、それだけじゃない思考やライフスタイルがここに――

鈴木蘭々

「夢が叶うだけが幸せじゃない」

「13歳でスカウトされて晴れて事務所には所属しましたがCMオーディションにも受からず鳴かず飛ばずで。アイドルといわれるにはだいぶ遅咲きで18〜19歳くらいから仕事が忙しくなり始めた感じでしょうか。しかも正統派アイドルというよりはバラエティ寄りでしたね。いま振り返っても当時の記憶がほとんどないくらい忙しく働いていたと思います。

 自分のことなのに、他人事のように傍観しちゃってる感じで。たぶん自分の器が小さ過ぎて幸せをだいぶ取りこぼしていたんでしょうね。やりたいことが全部できるなんてこんなに幸せなことはないのにね……だからいまは夢を叶えることだけが必ずしも幸せという価値観は持ってなくて、受け止める自分の器がどうであるかのほうが大切。でないとどんな幸せも感じられないし意味ないんだなと思います」

 多忙だったアイドル時代を振り返り、こう語ってくれた鈴木は、ある出来事が契機「THE CHANGE」となり、2018年に歌手活動を再開する。

歌手活動の再開はあの曲がキッカケ

―― 現在はアーティスト活動も再開されましたが、どんなことがキッカケだったのでしょうか?

「ミュージカルや舞台では歌ったりしていましたけど、鈴木蘭々個人としての音楽活動はもうできないと思っていたし、する気もなかったんですけど、2017年に音楽プロデューサー兼ベーシストの立川さんという方とのひょんな出会いがきっかけです。

 立川さんは私の『キミとボク』(※ 1998年発売フジテレビ系『ポンキッキーズ』で使用された)という歌が大好きだったようで、いつか仕事がしたいと思ってくれていたそうです。一方で当時ポンキッキーズの作家でいまは舞台の脚本などもされる舘川さんという方と私は長いおつき合いがありまして。

 とある舞台で立川さんと舘川さんが偶然出会い、私の話になったらしくて。そのご縁から3人で食事をする機会がありました。そのときに立川さんから“もう歌は歌わないんですか?”と聞かれて、“はい歌いません”と答えたのですが、なんだかんだでうまいことふたりに口説かれて(笑)。2018年がデビュー30周年でもあったので記念にライブぐらいはいいかなって」