84年にデビューするやいなや、瞬く間に人気アーティストとなったBARBEE BOYSのベーシストであるエンリケ。彼の活躍は、バービーだけに留まらない。浜崎あゆみを始め、永井真理子、江口洋介などの数多くのバックバンドも務めた。現在も、ベーシストとして精力的な活動を続けている、エンリケという名プレーヤーの誕生と転機に迫る。【第2回/全5回】

ENRIQUE 撮影/冨田望

 生徒に教えている教室の中で、愛用しているベースをバックに語り始めたエンリケさん。バービーボーイズ(以下、バービー)、浜崎あゆみさんのバックバンドのメンバーなど、名プレイヤーとして活躍するエンリケさんが、ベースをはじめたきっかけとはなんだったのか。

「中学生の時に爆発的にロックが好きになって、ギターが欲しくなった。夏休みになると、新聞配達のアルバイトをしていたんですが、お金が入るとレコードや趣味の熱帯魚に使ってしまうんです。そうこうしているうちに、中学の先輩がギターを始めてどんどんうまくなっていた。“これからギターを始めたら、もううまいヤツがいる。だったらベースをやろう”って決めました」

 まさに、人生の分岐点ともいえるロックとの出会い。エンリケさんは少年のような瞳で、ベースを買った日のことを語ってくれた。

「親が“都立高校に行けば、学費が安いから好きなものを買ってあげる”って言ったんですよ。だから勉強をして、都立高校に進学しました。そういえばバービーのメンバーも杏子以外、都立出身だったかな。

 合格発表のあとは、すぐにお金を握りしめてベースとアンプを買いに行きました。入学式で席が近くになったやつにギタリストがいて、その日にバンドを結成した。入学式に間に合って良かったって思いました(笑)」