バービーは「クールぶっているけど熱量がすごい」

 筆者が、昔、雑誌で読んだエンリケさんが初めて作った『バスが来ない』という曲のタイトルを見て、どのような曲だったのか気になっていたと話すと軽妙に語ってくれた。

「くだらないロックンロールですよ。たあいもない青春の歌で、彼女が渋谷で待っているのに、バスが来なくて青年が困っている。自分ではそのやるせなさが上手く書けたって思っているけどね。忌野清志郎さんも、最初に作った曲は“多摩川にハヤを釣りに行こう”って曲だったらしいからね。みんな最初の曲はそんな感じなんじゃないかな」

 エンリケさんは、清志郎さんを始め、大沢誉志幸さんなど多彩なミュージシャンとも交流があった。筆者はLA-PPISCH(レピッシュ、Aはウムラウト付き)のMAGUMIさんにインタビューした際に、MAGUMIさんが、“エンリケさんはデビューしてから初めてできた友達だ”と語っていたことを伝えた。

「レピッシュとは事務所が同じだったのだよね。バービーのほうが売れていたのだけれど、レピッシュと一緒にカウントダウンライブで対バンをしたら、レピッシュは見事に他人のふんどしで相撲を取って、ファンを増やしていました(笑)。バービーはみんな東京出身でクールな感じだったから、レピッシュみたいにはしゃぐ雰囲気はうらやましかったね」

――バービーは、他のバンドとは一線を画していた印象があります。

「たしかにバービーは“エブリバディ、ロックンロール!”みたいな暑苦しいのは絶対やりたくないっていう集団だった。でもじつは熱量がすごい。クールぶっているくせに、ライブが終わった後の汗の量が半端ない(笑)。そういう意味で他にはない、面白いバンドだと思いますよ」

 はにかみながらも、当時のミュージックシーンについて話してくれたエンリケさん。ベースを持たなくとも、その姿からはミュージシャンの自負に溢れていた。

ENRIQUE 撮影/冨田望

ENRIQUE(エンリケ)
1964年生まれ・コロンビア出身。1984年バービーボーイズのベーシストとしてデビュー。1992年にバービーボーイズ解散後は、江口洋介や永井真理子のバックバンドに参加。現在は再結成したバービーボーイズとしての活動をしながら、自身のバンドであるBICYCLEや、2023年に再加入したTHE STREET BEATSの活動も続けている。

撮影協力:アーティファクト・ミュージックスクール御茶ノ水本校

■ライブ情報
『蜂の四十年 俺のROCK自由祭』
還暦を迎えたエンリケ主催の公演。いまみちともたかや杏子も出演予定。
2月3日(土)クラブチッタ 開場16:00 開演17:00
2月9日(金)大阪・BIGCAT 開場17:00 開演18:00