サポートメンバーとして見た浜崎あゆみの姿
浜崎あゆみさんの快進撃は、彼女をバックアップしていたエンリケさんや野村義男さんの力添えがあってこそなのではないだろうか。
「浜崎さんは当時は3か月ごとにシングルを出していたし、『HEY!HEY!HEY! MUSIC CHAMP』みたいな音楽番組があった。時代的には、音楽番組から売れていったアーティストだと思う。
エイベックスにとっても、小室哲哉プロデュースではないアーティストでも成功させたいという意地だよね。俺もバービーの最初の頃は、自信がなかった。だから浜崎あゆみというアーティストを見ていて、最初は自分の若かった頃と似たようなものを感じた」
エンリケさんが間近で見た浜崎さんは、ストイックなアーティストだったという。
「彼女はセルフプロデュースに関するこだわりが、トップクラスだった。ほかのアーティストたちと段違いに強いものを持っていた。それが売れた要因だと思う。人はそれをワガママと呼ぶこともあるのだけれど……(苦笑)。でも、ワガママで売れない人ではなくて、ワガママを実現させながら売れていった。アーティスティックとワガママって表裏一体だからバランスが難しいよね」
――浜崎さんと、メンバーとして参加していたバービーとでは違いましたか?
「プレイに関しては変わらないのだけれど、バービーが持っていたバンドマジックが起きないことを痛烈に感じた。いつまでたっても浜崎さんのサポートをやっている限り、“野村とエンリケ”っていうセットで見られている。しかも、これがバンドかといったら、バンドではない。“ボーカル・浜崎あゆみのお友達”っていう以上でも以下でも決してなかった。
ファンも、花道を歩いたら盛り上がってくれたり、受け入れてくれていた。浜崎さんはアリーナツアーを14年間やっているのだけれど、14年連続でアリーナができるアーティストっていないよね。代々木体育館のワンマンライブも年末に3回やっていた。彼女は代々木体育館をマイホームって呼んでいたからね(笑)。すごい人気だったし、ぜいたくな経験だった。プレイヤーとしては、本当にもう感謝しかないです」
ベーシストとして、バンドやアーティストのサポートなど、さまざまな場所で活躍してきたエンリケさん。これからも、その輝きは増すばかりだろう。
ENRIQUE(エンリケ)
1964年生まれ・コロンビア出身。1984年バービーボーイズのベーシストとしてデビュー。1992年にバービーボーイズ解散後は、江口洋介や永井真理子のバックバンドに参加。現在は再結成したバービーボーイズとしての活動をしながら、自身のバンドであるBICYCLEや、2023年に再加入したTHE STREET BEATSの活動も続けている。
撮影協力:アーティファクト・ミュージックスクール御茶ノ水本校