「これは無理かも」スノーボードからお笑いの道へ

 高校を卒業後、布川さんはお笑いの道を志し、みちおさんを誘うも、断られてしまう。

みちお「中学2年からスノーボードをやっていて、そっちで食べられる道を探していたんです。プロを目指して専門学校に入って、インストラクターの資格も取らせてもらったんですけど……プロには技術うんぬんの一個先に、命の覚悟みたいなものが必要なんですよ。“できるかわからないけどやってみよう”という。もちろん安全確認をしながらですけど、自分はその覚悟を超えられないなと気づいたんですね。そんなときに、友人がちょっとえげつないケガをして、“これは無理かも”って、スノーボードのプロの道をあきらめたんです」

トム・ブラウンみちお 撮影/三浦龍司

 その後、みちおさんは一度断ったお笑いの道へ進み、すでに芸人として活動を始めていた布川さんから声をかけられ、トム・ブラウン結成となる。これは、柔道部の部長時代の布川さんを知っていたからこそだった。

みちお「布川さんが札幌のローカル番組に出ていて、布川さんが出ているなら自分は余裕だなって思ったんですよ。一緒に柔道部で遊んでいて、めっちゃ好きで尊敬しているけど、どっかなんかバカにしやすいんですよ。そこがいいところなんですけど、その感じがあったから、布川さんがお笑いの世界でいけるんだって、思っちゃった感じですね」

 一方、そんなみちおさんをお笑いに誘った布川さんはどう思っていたのか?

布川「一番、思うのは、養成所とかで知らない人同士でコンビを組んでやっているじゃないですか。それが信じられなくて、すごいなと思っていました。

 全然、知らない人に自分を預けられる、それは僕は信用できないなって思っちゃうんです。“ビジネスパートナーだから”という考え方もあるんでしょうけど、だとしても“怖くないのかな?”って思っちゃいますね」

 今では唯一無二のコンビとなったトム・ブラウン。そのもともとは、柔道部でのちょっと変わった先輩後輩の関係にあったようだ。

トム・ブラウン
布川ひろき(ぬのかわひろき)/1984年北海道生まれ
みちお/1984年北海道生まれ
2009年に結成。高校時代に柔道部の先輩だった布川がみちおを誘ってコンビ結成。同年に上京するが、しばらく自分たちの芸を模索する時期が続く。18年に『M-1グランプリ』の決勝に進出すると、そこで披露した合体漫才が話題となり、一躍脚光を浴びた。テレビ番組への出演が増える中、単独ライブツアーをほぼ毎年行っていて、24年も北海道、東名阪、福岡でのライブが予定されている。

トム・ブラウン単独ライブ2024「たろう7」
2024年5月17日(金)~2024年6月29日(土)

会場
東京都/ 草月ホール
福岡県/西鉄ホール
大阪府/朝日生命ホール
愛知県/今池ガスホール
北海道/かでるアスビックホール