ひとつの作品に長い時間をかけて取り組む贅沢さ

――贅沢な時間ですか。

「今回でいえば、稽古に1か月半以上ある。ひとつの作品に、それだけ長い時間をかけてじっくりとみんなで議論し合いながら向き合っていく。その時間がすごく贅沢だなと。いまはまだ読み合わせが始まった段階ですが(取材は3月下旬)、もう台本がボロボロになり始めてるんです。それくらい、ずっと自分の手元に置いてるんですよね。

 映像作品だとあまりないことです。特にドラマは3か月で10話ぐらいを撮影していくわけですから、1話が終わったら、その台本をまた開くといったことは基本的にない。だから台本がボロボロにはならない」

白洲迅 撮影/冨田望

――『ハムレット』は、公演スタートまでまだひと月半近くあります。

「それがもう、少しボロくなってきていて。味が出てきている台本が、なにかちょっと嬉しいです。相棒のように感じるというか。そんな発見もあって、改めて舞台っていいなと、いま思っているところです」

 もともとミュージカル『テニスの王子様2ndシーズン』が俳優としてのデビューだった白洲さん。舞台は修行の場であって「好き」とは言えないと口にしつつ、熱く語る姿はハマっているのが明らか。初のシェイクスピア劇で、「するべき挑戦」を果たす白洲さんを、この先も舞台や映像作品でたくさん見ていきたい。

白洲迅(しらす・じん)
1992年11月1日生まれ、東京都出身。’11年、舞台『ミュージカル テニスの王子様』の鳳長太郎役でデビュー。’13年には『押忍!!ふんどし部!』(テレビ神奈川ほか)にてドラマ初主演。ドラマ、映画、舞台と活躍している。主な出演作にドラマ『ごめんね青春!』(TBS系)、『刑事7人』(テレビ朝日系)シリーズ、『僕はまだ君を愛さないことができる』(フジテレビ)、『リコカツ』(TBS系)、大河ドラマどうする家康』(NHK)、『君が心をくれたから』(フジテレビ系)、映画『HiGH&LOW THE WORST』(2019年)『向田理髪店』(2022)など。’24年5月公演の吉田鋼太郎演出、彩の国シェイクスピア・シリーズ2nd Vol.1『ハムレット』でホレーシオを演じる。

ヘアメイク :松田陵(Y’s C) 
スタイリスト:持田洋輔
ジャケット¥187,000・Tシャツ¥17,600・パンツ¥52,800/コーチ/コーチ・カスタマーサービス・ジャパン(0121-556-936)靴¥35,200/アルフレッド・バニスター/アルフレッド・バニスター ルミネエスト新宿店(03-6380-0310)

●作品情報
彩の国シェイクスピア・シリーズ2nd Vol.1『ハムレット』
【原作】:W.シェイクスピア
【演出】:吉田鋼太郎
【出演】:柿澤勇人北香那、白洲迅、渡部豪太、豊田裕大、正名僕蔵、高橋ひとみ、吉田鋼太郎 ほか
【HP】https://www.saf.or.jp/arthall/stages/detail/98587/