「たぶん、来年の桜は見られない」そう医者から告げられたら、あなたなら、どうしますか。昨年12月、主治医から、ステージ4のすい臓がんであると告知されたのは、テレビの情報番組のコメンテーターとしてもおなじみの森永卓郎氏。現在、書籍『書いてはいけない』(三五館シンシャ)が14万部超えのベストセラーとなっている経済アナリストだ。
柔和な笑顔を浮かべながら政権の暗部に鋭いメスを入れる一方で、著書『年収300万円時代を生き抜く経済学』(光文社)では、経済格差に苦しむ我ら庶民に対して、どう生きるべきかを懇切丁寧にアドバイスする。
そんな66歳の硬骨漢は、どのようにして病と向き合ったのか? 昨年末からの突然の闘病生活について、ラジオの生放送終了後の同氏に聞いた。(全5回/第1回)
免疫の量が健康な人の「5分の1」ぐらいに
――お写真では、かなり痩せてしまった感じでしたが、お元気そうで安心しました。先日のスポーツ紙で、「私の場合は、オプジーボ(がん治療薬)が効いているのではないか」とラジオ番組の中でコメントされたと報じられていました。
効いているかどうかはわかんないんですけど、去年の12月29日は、本当に三途の川が見えた状態だったんですね。抗がん剤が合わなくて生死の境をさまよったんですけど、その後、気付け薬みたいのを飲んで、最悪の状況を脱して、年明けに2週間、東京の病院に入院したんですよ。
それは、治療のために入院したんじゃなくて、体がボロボロになっていたので、その治療に耐えられる体力、気力に戻すための入院だったんですね。
年末は、免疫の量が健康な人の5分の1ぐらいにまで下がってしまって、本当に危なかった。その状態でコロナとかにかかったら、一発アウトになる。だから、隔離してもらって点滴を打って、ちょっとでも熱が出たら抗生物質を打って、という繰り返しでした。ず~っと点滴で縛られているっていうか、スパゲッティ状態(点滴に両腕をつながれた状況を、腕を前に突き出して実演する森永氏)。
――本当に危険な状況は脱して、よかったです。
もともとは、すい臓がんのステージ4っていう診断だったんですけれど、血液パネル検査(血液中に流れるがんのDNAを用いてする検査)っていうのをやったら、95%の確率ですい臓がんじゃないっていうのがわかったんですよ。で、原発不明がんっていう新しい病名になった。がん細胞がどこにあるかわかんないけど、転移はしているので、体のどっかに本体はあるんだろうけど、それがどこにあるのか、何の種類のがんなのかっていうのは、まったくわからない。極めてレアケースのがんなんです。