勢力は拮抗「かすかに小さくなったかも」
ただ、原発不明になったおかげで、オプジーボっていう薬を健康保険で打てるようになったんです。 1か月全額、自腹だと70~80万円はかかっちゃうけど、今は20何万で済んでいるんですよ。
ただ、それは免疫療法なんです。がん細胞の軍団は、免疫細胞に泥団子みたいなのをぶつけてきて身動きを取れないようにして、免疫細胞からの攻撃を守ろうとするんですけど、その泥団子を取り除くのがオプジーボっていう薬。だから、当初の免疫細胞VSがん細胞のぶつかり合い、軍団同士のぶつかり合いの状態に戻すだけなんで、それだけだと、がん細胞にやられちゃうんですね。
だから、その治療に加え、NK細胞(ナチュラルキラー細胞の略。がん細胞やウイルス感染細胞を殺傷することができるリンパ球集団)を増殖させる血液免疫療法を、今は2週間に1回ずつ、自由診療でやっています。具体的に言うと、血を抜いて免疫細胞を増殖させて戻すっていうのを2週間に1回、それで、オプジーボとあわせて月100万円ぐらいかかりますね。
現在の病状は、この間、検査を受けた結果だと、免疫細胞軍団とがん軍団がちょうどこう勢力が拮抗してて。大きくはなってないんだけど、小さくもなってない。ま、かすかに小さくなったかもしれないね、ぐらい。
――がんの場所がわからないのに、大きさが小さくなっているというのは、なぜわかるんでしょうか?
冠動脈っていう一番太い動脈が走ってるんですけど、その周りにがんから浸潤してきた腺がん(体を構成する組織のうち、腺組織とよばれる上皮組織から発生するがん。胃、腸、子宮体部、肺、乳房、卵巣、前立腺、肝臓、膵臓、胆のうなどに発生する)があるんですね。それはわかる。だから本体がどこにいるかわかんないんだけれど、転移してきた部分、腺がんの状況から判断するんです。
――なるほど。がんの親玉がどこにいるのかわからないけど、その部下である腺がんがいるので、どこかにいる親玉の状況が分かるんですね。