去年の暮れは「3日間でイチゴ3粒」
食べる量は、そんなに多くないんですけれど、普通に3食、食べています。去年の暮れは、3日間でイチゴ3粒しか食えなかった。
――そのときに息子さんが心配されて、先ほど話されていた東京の病院に入院されたんですね。
やっぱり息子も「死ぬなって思った」って言ってました。私も「死ぬな」って思ってました。
――でも、告知を乗り越えた。そして、そうした状況の中でお書きになった本『書いてはいけない』が現在、14万部以上の大ヒット中です。本作は、日本のタブーであるジャニーズ事務所の性加害、財務省の財政緊縮主義、日本航空123便の墜落事故について歯に衣着せずに言及されていますよね。普通の人なら避けて通るであろう、それらの事柄に向かい合おうと思ったのは、どうしてなんでしょうか?
それを説明する前に、私の人生における3つのチェンジの話から始めましょうか。
■具体的な治療費の金額、保険の適応の有無を含め、まるで他人の病気を説明するかのように、淡々と話す森永氏。その姿に「あきらめたらそこで試合終了ですよ」の名ゼリフで知られる名作バスケット漫画『スラムダンク』(集英社)の安西先生の姿が重なった。
試合を観戦していた安西先生が、劣勢に立たされ、試合を半ば諦めていた中学時代の三井寿に前出の言葉をかけると、発奮した三井は試合に勝利するのだが、それと同様の言葉を自分自身に投げかけて、森永氏は病と闘い続けているのだ。
医者のセカンド・オピニオンどころか、サーティーンオピニオンまで求め続け、それでも諦めずに新たな検査に挑み、医者の告知をくつがえした同氏。その折れない心は、どのようにして育まれたのだろうか。
もりなが・たくろうプロフィール
1957年、東京都生まれ。経済アナリスト、獨協大学経済学部教授。1980年に東京大学経済学部を卒業後、日本専売公社(現在のJT)に入社。その後、日本経済センター、経済企画庁、三和総合研究所などを経て、2006年から獨協大学経済学部教授に。昨年、財務省の暗部に斬り込んだ『ザイム真理教』(三五館シンシャ)がベストセラーに。今年3月には日本の3大タブーとされるジャニーズ事務所の性加害、財務省の財政緊縮主義、日本航空123便の墜落事故について迫った書籍『書いてはいけない』(三五館シンシャ)が14万部を超えるベストセラーとなっている。2023年12月、ステージ4のがん告知を受ける。