「たぶん、来年の桜は見られない」そう医者から告げられたら、あなたなら、どうしますか。昨年12月、主治医から、ステージ4のすい臓がんであると告知されたのは、テレビの情報番組のコメンテーターとしてもおなじみの森永卓郎氏(その後、血液パネル検査で原発不明がんであることが判明)。
日本の3大タブーとされるジャニーズ事務所の性加害、財務省の財政緊縮主義、日本航空123便の墜落事故について迫った書籍『書いてはいけない』(三五館シンシャ)が14万部を超えるベストセラーとなっている経済アナリストだ。
柔和な笑顔を浮かべながら政権の暗部に鋭く斬り込む一方で、著書『年収300万円時代を生き抜く経済学』(光文社)では、経済格差に苦しむ我ら庶民が、どのようにして生きていけばいいのかを懇切丁寧にアドバイスする。
10人を超える医師の告知をくつがえし、花見を楽しんだ66歳の硬骨漢は、生死の境をさまよう病気を経て、どのように家族と向き合ったのか? ラジオの生放送終了後の同氏に聞いた。(全5回/最終回)
年末年始の仕事を片っ端からキャンセル!すると…
――では、最後に、ご家族のことを。息子さんが森永さんと同様、経済アナリストとして活躍されています。お2人で本も出されたりして、理想の親子関係と評判です。息子さんと一緒に仕事をすることになって、どう思われますか?
小倉智昭さんが「がんは幸せな病気だ。死ぬ前に整理ってのが全部できる」って言っていましたが、実は年末年始、生死の境をさまよっていたので、仕事を片っ端からキャンセルしていたんですね。
非常に危険な状況だったんで、その仕事を全部、講演もテレビもラジオも、長男の康平が穴埋めしてくれたんですね。今では、私の10倍ぐらい出ているんで、そこの事業承継はすごくうまくいきましたね。
次男は今、ITの技術者をやっているんですけれども、私がやっているB宝館(ミニカー2万台他、森永氏が50年間集めたコレクション約12万点が展示されている博物館)は次男が引き継いでくれそうです。康平は、そういうオタク系って全然、興味もないし、能力もないんですけれども、次男は、それがわかるんですよ。
今、次男が何をやっているかというと、技術を活かして、そのB宝館のホームページとかX(旧ツイッター)とか大改革に取り組んでいて、基盤がだいたいできてきた。来月からかな、その開館日には、実際に現場に立つっていうふうにも言ってくれているので、こっちも事業承継がうまくいきましたね。