今の時代でも通じる人間の感情や風刺を伝えたい

 音読の素晴らしさもっと人々に知ってもらおうということで教室を開き、それを綴った著書を出版することになった。先日、上梓した『日々の名作音読で人生の深みを知る』(さくら舎)は『音読』シリーズの第3弾となった。

「第1弾の『「毎日音読」で人生を変える』を出した時に、読んで下さった方から『どういうモノを読んだらいいですか』とか『お薦めのモノを教えてください』とかいう感想が多かったんです。それに応えるカタチで第2弾『四季を感じる毎日音読』を出させてもらったんです。これは1週間に1作品を読むということをコンセプトにして、一年は53週あるので季節に合わせたモノをたくさんある名作の中から私が53作品を選び抜いて載せたんです。そうしたら、これもお陰様で好評で第3弾を出そうということになりまして。じゃあ、今度は何を書こう、伝えようかと考えたんです。そして、文豪が残した言葉を伝えたい、あるいは古典の中に書かれていているけど、今の時代でも通じる人間の感情や風刺を伝えたいと思いまして記したのが今回の『日々の名作音読~』なんです」

 今回はタイトルにもある名作といわれる作品を中心に選んだ。

「例えば『枕草子』だったら『春はあけぼの』くらいしか読んでいない方が多いと思ったんですね。そこで、改めて現代語訳にしたものを全部読んだんです。そこで、その中から面白かったり、今と変わらないじゃないと思えたりすることがいくつかあったんです。子育てについて、噂話について、悪口について……クスっと笑える、今の時代にも通じるような感情を綴ったものがあったのでそういうものを選びました」