海外生活で手に入れた新しい価値観

 ニューヨークの家には扇子や漆の折り箱を置くなど、インテリアにも和を多く取り入れていたのだそう。日本への愛が深まった一方で、海外で生活するようになり、日本にいたときとはまた違う価値観を手に入れることができたという。

「なんというか、良い意味で“謙虚すぎなくていいのかな”と思うようになりました。海外の人って、家族とか身内の人のこともよく褒めるんです。日本だと、本音じゃなくても謙遜で悪く言うこともありますよね。

 私も悪くまでは言わなくても、いいことを積極的に言うタイプではありませんでした。でも、私の夫もそうなのですが、海外では自分のパートナーを他人にたくさん自慢するのを目にします。“私はなんてラッキーなんだ”、“最高のパートナーだ”って。

 褒められた側も“そんなそんな”とかじゃなくて“ありがとう”と清々しくて。これってステキなことだなと感じていて、私も夫や周りの人のことをたくさん褒めるし、“幸せです!”ってたくさん口にするようになりました」

和央ようか 撮影/三浦龍司

 宝塚時代は生活の全てを舞台に注いでいたという和央さんだが、現在は「前向きで、褒め上手」という夫のフランク・ワイルドホーンさんとの時間が、生活の主軸なのだという。舞台にモデルの仕事にと多忙な生活ではあるが、その「バランス」を探り続けている。

「フランクは、何かをダメだって言うことがないんです。だからこそ、自分でバランスを考えていかないと、極端に芸能活動に偏ってしまう。アメリカでの生活と芸能活動とのバランスを探りながら、彼にも考えをシェアして、やっていこうというのを常日頃意識しています」

 女優やモデルとして活躍する和央さんと、世界的な作曲家として多忙な日々を送るワイルドホーンさん。華やかな世界に生きるふたりだが、“思いやり”というとてもシンプルなことこそが重要なのだろう。

和央ようか(わお・ようか)
大阪府出身。74期生として宝塚歌劇団に入団し、雪組に配属。1998年宙組創設メンバーとして組替えすると、’00年にはトップスターに就任。’06年『NEVER SAY GOODBYE- ある愛の軌跡-』で退団後は、舞台だけでなくモデルとしても活動する。’15年に作曲家のフランク・ワイルドホーン氏と結婚し、現在は米国と日本を行き来する生活。そのライフスタイルも注目を集める。

●作品情報
「ベルサイユのばら50 ~半世紀の軌跡~」
【原作】:池田理代子「ベルサイユのばら」
【監修】:植田紳爾
【構成・演出】:谷正純
【日程】:梅田芸術劇場メインホール 2024年5月14日(火)~19日(日)
東京建物 Brillia HALL(豊島区立芸術文化劇場) 2024年5月26日(日)~6月9日(日)
【HP】https://www.umegei.com/versailles50/