人気ロックバンド、ユニコーンの川西幸一と、2022年に『塞王の楯』で直木賞を受賞し、コメンテーター、書店経営者などの顔も持つ作家の今村翔吾。毎年恒例となった2人のトークイベントに、デビュー作『屍人荘の殺人』がいきなりの大ヒットを飛ばし、本格ミステリー界の寵児となった今村昌弘が加わった。レジェンド級のミュージシャンと人気作家2人によるトークバトルは、音楽業界と作家業界が共通に抱える問題点などにも及び、白熱したものになった。【第7回/全8回】
ユニコーン・川西幸一×直木賞作家・今村翔吾×ミステリー作家・今村昌弘のトークバトル【THE CHANGE特別鼎談】を最初から読む
ここからは参加者から寄せられた質問に3人が答える質問タイムとなった。
Q:皆さんに質問です。何度も読み返したくなる作品があれば教えてください
今村昌弘(以下昌弘)「一冊の本を読み返すっていうのは、さすがに最近はなくなりましたね。子どもの頃は、好きな本は何回も読み返していました」
今村翔吾(以下翔吾)「僕は司馬遼太郎の『燃えよ剣』を読んで基本に戻る、みたいなことはありますね。作家になってからいちばん読んでいる本だと思います」
川西幸一(以下幸一)「小さかったときは本を何度も読み返すことはしていたけど、今は新しい本を読みたくて仕方ないっていう感じなんだよね」
翔吾「昌弘さんは自分の本は読む?」
昌弘「僕は読まないですね」
翔吾「僕はめっちゃ読むんだよね。自分の本を読んでシクシク泣いたりする(笑)。“こいつウマイなあ。めっちゃええの書くわ~”って自画自賛します。自分が書いたことを忘れられるタイプなのかもしれない」
昌弘「逆に僕は自分の拙さを見つけてしまって“めっちゃ直したい”になっちゃいますね」
Q:先だって銀幕デビューを果たした川西さんに質問です。川西さんが翔吾先生の本の中で演じてみたい人物は誰ですか?
川西「いちばんいいのは……セリフがない役(笑)。でも、キャラクターとしては『羽州ぼろ鳶組』の鳥越新之助かな。セリフを覚えること自体は大した問題じゃないんです。セリフを言う、間とかタイミングとかが難しい。俳優って大変だなと思いました。だから、主人公たちがしゃべってる後ろをシャーっと通る飛脚の役とかがいいな(笑)。それを、友達に“今のオレ!”って自慢します」
翔吾「主人公と奥さんがお祭りに行って “こうやってふたりで来るのも久しぶりだな”みたいなことを言ってるときに、太鼓をダダダーン! って叩くのとかどうですか。後ろにめっちゃ上手い人がいる、みたいな」
川西「いいね、でもそんな都合のいいシーンはないよね(笑)」