「そのときは世間に公表するとか、思っていなかった」

 2019年、『ザ・細かすぎて伝わらないモノマネ』(フジテレビ系)で「昭和ポルノの世界」シリーズで優勝したときは、フルウィッグをつけはじめたばかりのころだった。

餅田「そのときは世間に公表するとか、思っていなかったです。言ったらどうしても“かわいそう”ととらえられてしまって、仕事に支障が出るかなと思っていたので」

小野島「僕ら自身は、あまりネガティブにとらえていなかったんですけどね」

餅田「ふたりの間では笑える話なんです」

小野島「僕がめちゃくちゃヒゲが生えてて、餅田さんがつるつるだったので」

餅田「そのとき小野島さんに頭を剃ってもらっていたんですよ。剃るのが上手だから。だからふたりが並んだらめっちゃおもしろくて」

小野島「僕のカミソリでね。夏は特にね。僕は基本的に、ウィッグを被っていない餅田さんと会っているんですよね。僕の前では取っているんです。だから世間のとらえ方とは乖離しているんじゃないのかな、と思っていました。悲観的に生活していないというか」

餅田「わかる。まあ私も2回目っていうのもあるからね」

 餅田さんが初めて脱毛症を自覚したのは、高校生のときだった。当時は思春期、その心境を「もうひどかった」と振り返る。

餅田「いまの心持ちとはぜんぜん違います。早めに治療できたのですぐに生えてきたんですけど、やっぱり抜けていく自分を受け入れることはたいへんでした。ほぼ女子校みたいな高校で、いまの自分なら坊主頭で"いえーい!”とかできていたと思うんですけど、当時はそんなことできなかった。誰にも言えず、ウィッグをかぶって、仲のいい子だけに話して。親には当たりました。親は美容院に行ったりできるのに、私も行きたいのに行けなくて、“なんで私だけ!?”と」

 入院治療の甲斐あってしばらく自毛で生活していたが、2019年、再発したのだ。

餅田「再発したときは、いつもとなりに、いちばん一緒にいる人がおもしろくしてくれるし、ポジティブになれたんです。あのときのような“なんで私だけ!?”というのは、ぜんぜんありませんでした。いいウィッグに出会えたし」

小野島「自然だよね」

餅田「そう、いろんな髪型ができるしね。急にショートになったりロングになったりしても、ぜんぜんバレないし」