転機となった大作『踊る大捜査線 THE MOVIE 2』

「いばらの道を、選びがちかもしれないですね。進んでも進んでも、結果が出ないことはこれまでにもたくさんあります。でも、長い時間はかかるけど、少しずつ確実に形は変わっているんです。みんなそれぞれ違うペースで進んでいくだけで、喜びと苦悩する時間は結局、皆さん平等なのではと、歳を重ねて思います」

 長い苦悩を味わった真矢さんにとって、転機となった作品が『踊る大捜査線 THE MOVIE 2 レインボーブリッジを封鎖せよ!』。オーディションで自力で役を掴み取り、一躍ブレーク。演じた警察官僚の沖田管理官が主人公の青島刑事に言い放った「事件は現場で起きているんじゃない、会議室で起きているのよ!」のセリフは、強い印象を残した。

 映画が公開されたのは、40歳のとき。どん底から、一気に俳優としての階段を駆け登っていった。いばらの道を進み続けた、芯の強さ。役柄の印象とは異なる、優しい雰囲気の真矢さん本人からも、その強さは滲み出ている。

「若いとき旅行でタイに行ったのですが、900円の宿に泊まった次の日に高級ホテルに泊まったんです。そのとき、せっかくだから日によって違う宿に泊まろうということになって。900円の宿と、高級ホテル。結果、どっちがよかったとか、そういう感覚は私にはなかったんです。云うならば、900円の宿から高級ホテルへとトゥクトゥクで移動した、あのときの刺激が一番好きでしたね」

 ひとつひとつ、言葉を丁寧に選びながら取材陣に向き合う真矢さん。これから、さらにどんな活躍をするのか期待が高まった。

真矢ミキ 撮影/三浦龍司

ヘアメイク:小澤久美子、スタイリスト:佐々木敦子

真矢ミキ(まや・みき)
1964年、広島県生まれ、大阪府出身。81年宝塚歌劇団に入団し、花組のトップスターとして活躍。日本武道館でのソロコンサート、篠山紀信撮影による写真集の出版など、独自のアイデアによる活動で「タカラヅカの革命児」と呼ばれた。98年退団後は、俳優として、数多くの映像やドラマに出演。2015年より4年半、朝の情報番組『ビビット』(TBS系)の司会も務めた。近著に書き下ろしエッセイ『いつも心にケセラセラ』(産業編集センター)。

■作品情報
ハリウッド共同制作オリジナルドラマ『TOKYO VICE Season2』
WOWOWにて
毎週土曜日午後9時放送・配信中(全10話)【WOWOWプライム】【WOWOW 4K】【WOWOWオンデマンド】
WOWOWオンデマンドにてSeason1全8話配信中
https://www.wowow.co.jp/drama/original/tokyovice2/
公式Instagram(@wowow_tokyovice