初主演作品がヴェネツィア国際映画祭の銀獅子賞を受賞
――それにしても出演だけじゃなく、主演とはすごいことです。
「そうですね。もともとは石橋英子さんの音楽ライブに流れる映像作品としてスタートしたと聞いていたので、当初は音声がないと思っていました。だからこういう着地点だとは思っていなくて、映像と音楽の新しい試みをみんなでやる、そこに参加できるのはすごく光栄だし楽しそうだと思っていたら、結果的にセリフもかなりあった感じでした(笑)」
――出来上がった作品は、すでに海外で高い評価を得ています。なかでもやはりヴェネツィア国際映画祭の銀獅子賞が燦然と輝きます。大美賀さんもイタリアに行かれたわけですが。
「最高ですよね! 僕は連れて行っていただいたんですけど、自分で行くとなるとかなり強い意志がないと行かない街ですし、本当に得難い体験というか、めちゃくちゃ楽しかったです」
――レッドカーペットの歩き心地はいかがでしたか?
「日本人はさっと行ってしまうから、もうちょっと堂々と時間をかけて歩いてくださいとオフィシャルカメラマンの方からお達しというか、アドバイスを受けていたんです。濱口さんはもちろんこうした国際映画祭も経験があると思いますが、僕も含めてキャストの多くは経験がありません。でもなるべく堂々と」
――写真などで拝見しましたが、すごく堂々とされている印象です。
「本当ですか? 成功して見えたのなら本望です。やっぱり濱口さんはすごく声がかかって、サインもめちゃくちゃ求められていました。自分は求められないんだけど、ただ横に立っていると手持無沙汰なので、無理やり書きに行ってました」
――それは素晴らしい精神です。
「そうですね。やってみようと思って。堂々とね(笑)。気まずい顔をされるかなと思ったんですけど、海外の映画ファンの方々の優しさに触れました(笑)」