「お笑いなんてね、短所があったほうがいい」
親を慮るクロちゃんは、さらに自身もたびたび出演する『水曜日のダウンタウン』(TBS系)について言及した。
それは、今年2月14日の放送回。内容はというと、2022年7月放送の同番組の企画「説教早帰らせ選手権」に、ドッキリターゲットとして出演した“無滑舌芸人”を自称するインタレスティングたけしさんのしゃべり方について、放送後、同番組に「日本吃音協会」から「吃音者に対する差別と偏見を助長する」という抗議があったことへの、“アンサー”企画だった。
インタレスティングたけしさんは番組内で「このしゃべり方で名前も覚えられたりするので、しゃべり方とネタで笑ってほしい」と切実に語っていた。この放送を見たクロちゃんは、特にスタジオでVTRを観ていた伊集院光さんのコメントが印象的だったと振り返る。
「伊集院さんは吃音があるというお兄さんの話をされて、“お笑いではコンプレックスが全部武器になる”、“一般生活ではつらいこともある特徴が、みんなに喜んでもらえる”と言われていて、本当にその通りだなと思ったんです。
お笑いなんてね、短所があったほうがいいから。絶対ね。だから僕の『THE CHANGE』は、短所を長所にできたこと、ですね。あとね、これ、僕は他人に対してもそういう目で見ているんですよ」
ーー他人の短所と長所を見ている?
「見るからに“この人、合わないなあ”という人を前にして、さらにその人を褒めないといけないときってあるじゃないですか。そのとき、その人のイヤなところって長所にもできるんです。たとえば横柄な人だったら、“誰にでも態度を変えなくてカッコいいですよね”と言ったりね」
ーー人の悪いところばかりに目を向けるのではなく、長所に言い換えるんですね。
「そうです。僕がその人の苦手なところがあればあるほど、その部分を“いいこと”みたいな感じで言うようにしています」
ーー他者を多面的に見る、とてもステキな考え方ですね! 人間関係につまづいたとき、実践したくなります。
「あ、あとひとつだけいいですか? よくね、僕思うんですけど、ルールを破ったら目立ってあとあと尾を引いてたいへんな問題になることが多いじゃないですか。実は僕は絶対にルールを破らないんですよ。僕が大事にしているのは、“ルールを破るのではなく、ルールの中で、どれだけ奥行きを使って遊べるか”ということなんです」
ーーへえー! たとえば、どんなことでしょう?
「たとえば、だから、えっと……ルールを破る……お菓子を……いや、これはちがうか……そうですよね、こういうとき、具体的ななにかが必要ですよね。ちょっと待ってくださいね。……あれ? なんだ?」
ーーコンプライアンスの中で、ギリギリを攻める、みたいな?
「うーん、えっと……すみません! ちょっと考えさせてください……!」
終了時間を10分以上すぎても思考を巡らせ、キメきれなかった姿もすべて開示してくれるクロちゃん。とりつくろわず、ありのまま、長所も短所も見せてくれるその姿に、みな心奪われてしまうのだ。
クロちゃん
1976年12月10日生まれ、広島県出身。2001年、団長安田、HIROとともにお笑いトリオ『安田大サーカス』を結成。コワモテフェイスとギャップのあるハイトーンボイスが特徴で、近年は『水曜日のダウンタウン』(TBS系)で大ブレイクし、「愛すべきクズキャラ」として人気を集めている。アイドル好きとしても知られ、アイドルグループ『豆柴の大群』アドバイザーとしての顔や、アイドルフェスプロデューサーとしても才能を発揮している。