“漢”という言葉がこれほど似合う男はいないだろう。俳優・市原隼人。『WATER BOYS2』、『ROOKIES』といった学園ドラマでの熱いキャラが印象的な市原さんだが、近年では『鎌倉殿の13人』、『正直不動産』などではスマートで大人のキャラを好演している。そんな市原に「THE CHANGE」について聞いてみた。【第3回/全4回】

市原隼人 撮影/有坂政晴

 市原さんが演じる甘利田幸男は“輪島塗のマイ箸”を持つほど、給食命の中学教師だ。

「甘利田という男は、ある意味、僕にとってのロマンなんです。笑われても滑稽な姿を見せても、好きなものを好きと胸を張って人生を謳歌する勇気、子供に対しても負けたら負けたと素直に言える男で、僕もこんな風に生きられたらいいな、こういう人間になりたいなっという憧れでもあるんです。演じるうえではシーズンを重ねていくことで、どう変化をみせていこうかと悩んだこともありましたが、結局、変わらないでいることが甘利田幸男の一番の在り方なんだなっと感じました」

 本シリーズの見せ場はやはり給食シーン。この時、甘利田が見せる給食に対してリスペクトの思いを表現するユニークなアクション(舞い?)はすべてアドリブだという。

「給食を食べるだけなのですが、滑稽な姿も含めてすべてを出しきりたいと思っていました。なので、事前に動きを全部考えて自分で構築していかないと撮影を迎えられなかった。僕は役として笑わせるのではなく、笑われたいんです。甘利田が自分の理想郷である給食の時間に埋没してどう必死に向き合うか。このシーンは長回しで撮られるんですが、ほとんど使われなくても構わないという気持ちで挑んでいました。シーズンを重ねるごとに、前作を越えようと必死に撮影していたら、シーズン3の時には意識がブラックアウトしてしまったこともありました(笑)」