「このテーマで作るのは挑戦」ワクワクしたオファー

 原作コミックは『カイジ』の福本伸行と、『沈黙の艦隊』のかわぐちかいじによるサスペンス。『苦役列車』『カラオケ行こ!』などの山下敦弘監督が実写のメガホンを取った。

「お話をいただいてから原作を読ませていただいたんですけど、単行本1冊の短編で、ワンシチュエーションですから、これを映像化するためには、かなり膨らませていくことになりますよね。広げがいのある面白い題材だと思いましたし、純粋に楽しみだなと感じましたが、長編映画をこのテーマで作るのは挑戦だとも思いました。とてもワクワクするオファーでした。それを山下監督が撮られるわけですから、なおさらです」

奈緒 撮影/冨田望

 奈緒さんの言う通り、物語は遭難した浅井とジヨンのふたりの時間を追う、ほぼワンシチュエーションのサスペンス。そこに大学時代に行方不明になったさゆりのエピソードが絡んでくる。本編を見ると分かるのだが、登場シーンでのさゆりは、浅井らと会話はしているのだが、その音声は消されており、何を話しているのかは、観客には分からない。

――演じるにあたって、特別に意識したことはあったのでしょうか? 「浅井から見たさゆり」を演じようとか。

「あまりいろいろ考えず、いつも通り、普通にさゆりとして演じたほうが、存在したほうがいいだろうと。そこは監督とお話している段階からありました。音声は使っていませんが、台本には実際のセリフのやりとりが書かれていたので、その場でのお芝居は、リアルにやり取りして演じていました。なので“他の現場と違うようにという意識はしないように”と意識していました」