芸名を変えるきっかけになったできごと

ーー出てきましたか!

「先輩の川地民夫さんから連絡が入り、“家にいるので、ちょっと顔を出さないか……いま、みんなで、征のことを占いで見ているんだけど、あまりよくない占いが出ているよ!?”と」

 川地民夫さんは1958年、石原裕次郎さんの家の隣に住んでいたことが縁で日活入りし、小林旭さん、沢本忠雄さんとともに「三悪トリオ」として重宝され、70年代には東映作品『まむしの兄弟』シリーズで人気を博した、芸歴では平泉さんの先輩に当たる役者だ。

「驚いた僕が、川地宅にお邪魔すると占い師さんのような方がいて、“平泉という姓はいいけど、征の名を変えないと病気になるかも”と言うんです。

 デビュー直後の2年は本名で活動し、1966年からこれまで『平泉征』の芸名で活動をしていました。困惑しながらも、家に帰りよくよく考えてみました。“征”は争いごとなど穏やかでない意味合いが強く、もめ事を連想させる。代わりに、“成”は読み方も同じで“平泉が成る”となる。40も過ぎていたので、攻撃的な“征”よりも、波風の立たない“成”のほうがいいと思っての決断でした」