役者生活60年目にして、初めて映画に主演する平泉成さん、80歳。日本を代表する名バイプレイヤーとして、昭和・平成・令和で常に第一線で活躍し続ける平泉さんには、いくつものTHE CHANGEがあった。【第3回/全5回】

平泉成 撮影/三浦龍司、ヘアメイク/石下谷陽平

 俳優歴60年目の今年、80歳にして初めて映画主演を努める平泉成さん。6月7日公開の主演映画『明日を綴る写真館』では、さびれた写真館を営む、昭和気質の無口なベテランカメラマンを演じる。物語のテーマは「想い残し」。息子との歯がゆいすれ違いやぶつかり、そして息子と同世代の若手カメラマンとの静かでいて情熱的な交流を描き、それぞれの「想い残し」の昇華を表現している。

 平泉さん自身も2人の子どもを持つ父親だ。長男は俳優をしていた時期がある。

「息子が学生だったころ、ちょっとだけ俳優の仕事をやっていました。それを経験するなかで、自分より“ものすごいやつがいっぱいいるから”って自分にはもうムリかもと言ってきたんです。息子自身の判断で決めたことなのでそれもよしとしましたね」