「三畳一間」からスタートした
だが、平泉さん自身に「長く活躍し続ける秘訣とは?」と聞くと、「そんなこと聞かれても困るけど」と遠慮がちにこう言うのだ。
「やっぱり意地もあったよね。それから、生活のためのお金がほしかったからね。僕のニューフェイスの出発は風呂もトイレもない三畳一間の狭い寝床からのヨーイ、スタートでしたから。
そこからやってきたから、結婚したら、ちょっとでもいいところでいい生活をしたいと思ったし、そのためには1本でもたくさん仕事をしたいと、そんなふうに思ってやってきました」
ーー切実に、生活のために。
「そうです。それを積み重ねていったら、いつの日かいまみたいな立場になって、少しずついい役がくるようになったんです。ただ、積み重ねても子供の学費とかさ、私立の学校に入れちゃったらさ、“もう1本やろうか?”とかなるじゃない。とにかく、できない役だと思っても、なんとかできるふりしてやっちゃおう、とかさ。
だから、“夢のスターとしての俳優”というよりも、“仕事としての俳優”で、稼がなきゃいけないという感覚でやってきました。スターさんみたいな家は建てられなかったけど、普通の家は建てられたしね」
平泉さんが80歳にして現役でい続ける背景には、地に足のついた仕事観があった。でもそれはやっぱり、常人にはマネできないだろう。
ひらいずみ・せい
1944年6月2日生まれ、愛知県岡崎市出身。高校卒業後、ホテルに就職。大映フレッシュフェイスに応募、1964年第4期ニューフェイスに選ばれる。その後、大映作品に出演、1966年『酔いどれ博士』で映画デビュー。1971年の大映倒産とともに活動の場をテレビドラマに移行。1984年から現在の芸名“平泉成“に改名。以降、作中で存在感を放つバイプレイヤーとして名を馳せる。その特徴的な声と唯一無二の人間味が、多くの人にものまねされることになり、世代を超えて支持されている。
『明日を綴る写真館』
出演:平泉 成
佐野晶哉(Aぇ! group)
嘉島 陸 咲貴 田中洸希 吉田 玲 林田岬優
佐藤浩市 吉瀬美智子 高橋克典 田中 健 美保 純 赤井英和
黒木 瞳/市毛良枝
原作:あるた梨沙『明日を綴る写真館』(BRIDGE COMICS/KADOKAWA刊)
企画・監督・プロデュース:秋山 純
脚本:中井由梨子
企画協力:PPM
製作:ジュン・秋山クリエイティブ
配給:アスミック・エース
(C)2024「明日を綴る写真館」製作委員会©あるた梨沙/KADOKAWA
■公式サイト:https://ashita-shashinkan-movie.asmik-ace.co.jp/
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