三隅監督の言葉を素直に受け入れた

「それで、“そりゃまあそうだな”と思いました。これからは、こういう役をやるときだけ、ちょっと鍛えるくらいにしておこう、と思い直したんです。でもいまの役者さんを見ると、みんなこうだよね」

ーーたしかに、筋トレをするなど鍛えている方は多いです。

「自分でやってみたことがあるから、なんかこう“俺の体を見ろ!”みたいな、自信がないやつがそれをやっているんだろうという一面もありますね。僕自身もそうだったんだと思う」

ーー昭和の俳優さんも、令和の俳優さんも、若いころは「鍛えたい」と思うのは同じなんですね。

「僕も監督に言われるまでは気づきませんでした。バーベルだけで鍛えたってダメなんですよ。ほんとうに鍛えるならば、体を動かしてしなやかな筋肉をつけていかないとね。バーベルで作った筋肉は、バーベルを上げること以外にはあまり効果がないんです。今は体の鍛え方・トレーニング法も昔とは違って洗練されています。見た目がちょっとこうなるだけです」

 意外なマッチョ時代を振り返る平泉成さん。監督に怒られたあのときは、役者にとって大切なことを思い知らされた、THE CHANGEした瞬間でもあったのだ。

ひらいずみ・せい
1944年6月2日生まれ、愛知県岡崎市出身。高校卒業後、ホテルに就職。大映フレッシュフェイスに応募、1964年第4期ニューフェイスに選ばれる。その後、大映作品に出演、1966年『酔いどれ博士』で映画デビュー。1971年の大映倒産とともに活動の場をテレビドラマに移行。1984年から現在の芸名“平泉成“に改名。以降、作中で存在感を放つバイプレイヤーとして名を馳せる。その特徴的な声と唯一無二の人間味が、多くの人にものまねされることになり、世代を超えて支持されている。

『明日を綴る写真館』
出演:平泉 成
   佐野晶哉(Aぇ! group)
   嘉島 陸 咲貴 田中洸希 吉田 玲 林田岬優
   佐藤浩市 吉瀬美智子 高橋克典 田中 健 美保 純 赤井英和
   黒木 瞳/市毛良枝
原作:あるた梨沙『明日を綴る写真館』(BRIDGE COMICS/KADOKAWA刊)
企画・監督・プロデュース:秋山 純
脚本:中井由梨子
企画協力:PPM
製作:ジュン・秋山クリエイティブ
配給:アスミック・エース
(C)2024「明日を綴る写真館」製作委員会©あるた梨沙/KADOKAWA
■公式サイト:https://ashita-shashinkan-movie.asmik-ace.co.jp/
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