役者として「どんな注文にも応えられる」用意をする

――それに対応するには、前もってご自身の中に色々な引き出しを持っていないとできないですよね。

「だから、“うちは寿司屋なんだからそんなもんねえよ!”って言っている場合じゃないんですよ。メニューにないものを言われたら、とにかくその場にあるもので取り繕って出した方が早いですから。これは(生田)斗真や(中村)倫也が若いときにもよく言っていたんだけど“どんな注文にも応えられる用意だけはしておけよ”ってことです。歌もダンスも殺陣も楽器も、できる準備や用意をしておけば“あれやって”と言われたときにすぐ“はい、やります!”って言えますからね」

――最初から「出来ません」というよりも物事がスムーズに進むし、余計なことでもめなさそうですね。

「 “今回の作品のために3か月前からトレーニングしています”なんて言う俳優もたまにいるけど、アクションやダンスのトレーニングっていうのは、本当はガキのころからやっておかなきゃいけないんです」

――いつか来る役のために、前もって出来ることを準備しておくことが重要だと。

「普段からある程度やっておけば、言われたときに準備をしなくてもいいんです。つまるところ、準備さえしておけば自分で工夫する必要はないんですよ。それで監督や演出家に言われたことをすぐにできればいいわけなので、いつどんな注文を言われてもできるように、準備だけはしておかなきゃいけないんです」

――何でも器用にひょうひょうとこなされる印象があったのですが、そのときのための準備を前もってして、 出された要求に対してすぐに「できます」と言える臨機応変さがあるからなんですね。

「オイラは小学生のときから舞台俳優になりたいと思っていたのですが、全ての習い事を始めたのが遅かったんです。中学、高校で楽器を始めて、バレエやタップダンスは高校生からやって、アクションもやりたかったからそのために格闘技もやりました。大学までにある程度のことは確立していたと思います。