キャリアを重ねた“いま”欲しいものとは

 時代は変わり、車に憧れを抱く若者は激減。車は〝買うもの〟から〝必要なときだけ借りるもの〟になった。

「ぼくは、車も服も時計も、自分のライフスタイルの一部だと思っているから。別に高い物じゃなくてもいいんだよ、〝自分はこれが好き。だから側に置いておきたい〟と思うから手に入れるわけで、どうしてそれを他人とシェアするのか、よくわからない」

──好きなものを所有して、愛着を持って使うのが幸せ?

「だってそうでしょ? 人間って、常に〝好きか、嫌いか〟を基準に行動していると思うんだよ。好きな人とは一緒にいたいけど、嫌いな人とはできるだけしゃべりたくない。家の中に嫌いな物があったら居心地が悪い。人間って、その程度の生き物なの。だから好きな人とだけ付き合って、好きな仕事をしていられたら、それが一番幸せだと思うね。難しいことだけど」

──キャリアを重ね、欲しいものが自由に買えるようになったいま、一番欲しいものは?

「さっき車の話をしたのに、こんなことを言うのは矛盾しているかもしれないけど、昔から〝あれが欲しい、これが欲しい〟っていうのはあんまりなくて。〝いまは人のために何かをしたい〟という気持ちが強いですね」

 唐沢は2019年から東日本大震災で被災した東北の復興支援を目的としたチャリティ・クラシックカーラリー・イベント『GO! GO!ラリー in東北~Classic car meeting~』を開催し、妻の山口智子と共に愛車で被災地をまわっている。今年4月には、2016年の地震で大きな被害があった熊本市を訪れ、全国から集まったクラシックカー約100台と被災地を駆け抜けた。自分のためよりも、人のために。 俳優としても唐沢寿明のなかには、常にその思いがあるという──。

唐沢寿明(からさわ・としあき)
1963年6月3日生まれ、東京都出身。’87年に舞台『ボーイズレビュー・ステイゴールド』でデビューし、映画、テレビドラマで活躍。主な出演作は、大河ドラマ『利家とまつ〜加賀百万石物語』(NHK)、『白い巨塔』(フジテレビ系)、『ルーズヴェルト・ゲーム』(TBS)、『フィクサー』シリーズ(WOWOW)、映画『ラヂオの時間』、『20世紀少年』シリーズなど。声優としてはアニメ映画『トイストーリー』シリーズでウッディの声を務める。

映画『九十歳。何がめでたい』2024年6月21日(金)全国公開

シリーズ累計178万部の人気エッセイが映画化
生きづらい世の中を〝一笑両断〟! 笑いと共感の痛快エンターテイメント!

原作:佐藤愛子
監督:前田哲
脚本:大島里美
出演:草笛光子
唐沢寿明/藤間爽子、片岡千之助、中島瑠菜
オダギリジョー清水ミチコ、LiLiCo、宮野真守、石田ひかり、三谷幸喜
木村多江真矢ミキ
公式サイト:https://movies.shochiku.co.jp/90-medetai/